昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−7

専門分類

1

研究課題名

統計ソフトウェアのインテリジェント化に関する基礎的研究

フリガナ

代表者氏名

オオスミ ノボル

大隅 昇

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

既存の多くの統計ソフトウェアは,知識工学的な技術を取入れて次第にインテリジェント化を強める傾向にある。加えて統計エキスパート・システムの実験的な報告が若干みられるようになってきた。本研究は,こうした最近の動向をふまえて統計データ解析の分野における知識工学的アプローチの可能性,統計ソフトウェアのインテリジェント化の技術,さらに統計エキスパート・システム構築のための基礎的研究を行うことを目的とする。


データ解析において統計ソフトウェアがはたす役割の重要性については,周知のことである。とくに最近は,マイクロコンピュータやワークステーションの上で稼動する多数の統計ソフトウェアが登場している。また,多くの統計ソフトウェアは知識工学的な技術を取り入れて次第にインテリジェント化を進める傾向にあり,一部の研究者により統計エキスパート・システムの実験的な試みが行われその研究報告が散見されるようになってきた。
こうした最近の動向をふまえて統計データ解析の分野における知識工学的アプローチの可能性,統計ソフトウェアのインテリジェント化の問題点,統計エキスパート・システム構築のための基礎的研究に関連する諸問題について,以下のことを中心に研究を進めた。
(1)統計インテリジェント・システムや統計エキスパート・システムの関連研究の現状分析
エキスパート・システムの研究は様々の分野で行われているが,統計学,統計的データ解析の領域では,設計試案やごく簡単な実験的試みの紹介はあるが,具体性を持ったシステムはまだ見られない。しかし,関連研究,その適用可能性,コンピュータ利用環境・システム開発環境などのありかたについての種々の提案や議論は盛んである。そこで,研究の第1段階として関心のある関連研究,実験例,実際のシステム開発に関連するソフトウェアなどについて調査を行った。ここで,1.関連研究の文献の検索とリストの作成;2.市販の統計ソフトウェアのうち,インテリジェント化,エキスパート化を目指したものの探索;3.統計ソフトウェアのインテリジェント化に役立つと思われる支援ソフトウェアの検索。とくに,マイクロコンピュータあるいはワークステーション向きのエキスパート・シェルの検索;等について検討した。とくに,マイクロコンピュータ(主にマッキントッシュ系)向きのシェルについてその機能や統計ソフトウェアとの接触面でみられる問題などを検討した(Humble,InstantExpertその他)。
(2)データ解析過程の記録機構の検討
統計解析における知識システムとくにその推論過程,データ解析の経験則や専門知識獲得のメカニズムの解明には,とりあえず日常のコンピュータによるデータ解析における様々の処理プロセスを自動的に記録する“ジョブタスク・ロガー”のような支援ソフトウェアの開発が有効かもしれない。そこで,特定なコンピュータ環境(とくにマイクロコンピュータやワークステーション)におけるデータ解析を想定して,こうしたロガーの支援ツール,開発言語環境,アルゴリズムなどの基礎的研究を行った。
(3)小規模のインテリジェント・システムの設計試案の検討
収集した研究資料やソフトウェアにもとづいて,特定な分野におけるシステムの設計試案を検討した。対象は自動分類法に限定して,エキスパート・システムのプロトタイプとなりうる,できるだけ具体性をもったインテリジェント・システムの設計試案を作成した(これについては,ISI東京大会で発表)。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1)K.Yajima and N.Ohsumi(1987):Statistical Intelligent Software for Automatic Classification,Invited paper,46th Session of the ISI,Tokyo.
(2)大隅昇(1988):統計ソフトウェアに望むもの,第2回日本計算機統計学会,特別講演,第2回日本計算機統計学会予稿集,May 19−20,1988.(予定)
(3)大隅昇,秋山直樹(1988):マイクロコンピュータ向きの統計ソフトウェアについて,「日経バイト」に連載を予定(調査結果の一部をここで発表)。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

統計ソフトウェアのインテリジェント化を効果的に進めエキスパート・システムとして具体化する際に必要となる専門知識獲得過程,知識処理の方式,知識ベース等についての研究の現状を展望し,加えて特定な分野での実現可能性を検討する。
(1)統計エキスパート・システムの関連研究の現状分析,とくにその適用分野,利用環境などについて調査する。
(2)統計知識,データ解析の経験則などの専門知識獲得の方法論,ならびに知識ベース化に必要な支援ツール,言語環境,アルゴリズムなどの基礎研究を行う。
(3)統計解析における知識システムとくに推論機構とその実行制御機能,ユーザインタフェースの在り方を検討する。
(4)特定な分野,たとえば時系列解析,多変量データ解析,クラスター化法などにおけるデータ解析のすすめ方,データ利用技術を(1)〜(3)で得た情報に従って整理し,エキスパート・システムのプロトタイプとなるような小規模の統計インテリジェント・システムの設計試案を作成する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

今泉 忠

多摩大学

小林 和夫

(株)電通

駒澤 勉

統計数理研究所

島田 誠一

(株)電通

田村 義保

統計数理研究所

芳賀 敏郎

東京理科大学

宮本 星一

(株)電通