平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−67

専門分類

7

研究課題名

自閉症児における左右大脳半球機能分化に関する研究

フリガナ

代表者氏名

オガワ テルユキ

小川 昭之

ローマ字

所属機関

重症心身障害児施設「恵の聖母の家」

所属部局

職  名

園長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

早期幼児自閉症の原因については種々論じられてきたが、近年は「脳障害を基盤とした発達障害」とする考え方が優勢である。
我々は左右大脳半球の機能分化の障害という観点から、自閉症児の大脳半球離断シミュレーション脳波を求め、健常児と比較検討し、自閉症発症機構の特性を追及する。


【目的】早期幼児自閉症の原因に、「脳障害を基盤とした発達障害」とする考え方がある。我々は左右大脳半球の機能分化の障害という観点から、自閉症児の大脳半球間離断シミュレーション脳波を求め、健常児と比較することにより、その特性を追求した。
【対象と方法】自閉症児群は3,4 歳の計5 例に対し2 回ずつ行った延べ10例を対象とし、健常児群は年齢をほぼ一致させた55例を対象とした。脳波、自閉症児群は室内で遊ばせている状態でテレメトリーシステムを用いて、健常児群は安静開眼覚醒状態で、左右前頭極・中心・後頭部の計6 ヵ所より記録した。
アーチファクトを含まない10秒間の脳波を50HzでA/D 変換し、Ardock(Ishiguro 1994) を用いて左右大脳半球間離断シミュレーション脳波を求めた。その後、シミュレーション前後の脳波に自己回帰・要素波解析を行い、周波数帯域別にシミュレーション前後でのパワーや減衰時間の変化率を両群で比較した。
【結果】θ・α帯ともに自閉症児群では、健常児群に比して5 ないし1%の危険率で有意にシミュレーション前後でのパワーの変化が乏しかった。
【結論】自閉症児群の大脳半球間の離断による変化が健常児群に比して小であったということは、逆に、自閉症児では左右大脳半球間の連絡が健常児に比して密でないことを示唆し、自閉症児では脳の側性分化が乏しいと考えられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Sato,K, Ogawa,T., Wada,M., Sonoda,H., and Ishiguro,M. Development of the functional asymmetry of EEGs in normal children: a multivariate autoregressive modelling approach.(in preparation)

佐藤圭右,小川昭之.多次元自己回帰モデルによる小児脳障害脳波のシミュレーションとその発達変化に関する研究(第3報)−自閉症児脳波の解析−.第97回日本小児科学会.1994年5月26日
佐藤圭右.早期幼児自閉症の神経生理学−左右大脳半球機能の発達を中心に−.第47回九州小児科学会.1994年11月20日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

当科外来にて、経過観察中の早期幼児自閉症児に対し、定期的に脳波検査を行う。脳波は、室内で自由に遊ばせている状態で、テレメトリーシステムを用いて国際電極配置法に従い10ヶ所より単極導出し、いったん磁気記録を行う。その後適当な区間を選び、サンプリング周波数100HzでA/D変換を行う。そうして得られた10次元の離散時系列に、石黒により開発されたプログラムARdockを施し、必要に応じて統計数理研究所の大型電子計算機も利用しつつ、左右大脳半球離断シミュレーション脳波を求め、その構成要素波の減衰周波数・減衰時間・パワー・%パワー・情報量について健常児と比較検討を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

佐藤 圭右

大分医科大学

園田 浩富

大分医科大学

高野 智幸

大分医科大学大学院