昭和611986)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

61−共研−63

専門分類

7

研究課題名

不完全生存時間データに基づく最適観察間隔期間の推定

フリガナ

代表者氏名

コマザワ ツトム

駒澤 勉

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

名誉教授

職  名

名誉教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

疾病の持続期間や余命分布などの生存時間データに伴う不完全性の原因は,(1)観察実施上の回数・間隔の細密化の制約による事象生起時の特定化困難,(2)脱落・中途打切り例を含む比較的少数標本に基づく母集団の特性推定上の困難,などがあげられる。本研究では,未だ,手法が確立していない。(1)に起因する不確定性に対し,情報修復のための統計手法の開発を試みる。さらに,(2)の既存手法と組みあわせ,実データ解析も試みる。


疾病の持続期間や余命分布などの生存時間データに伴う不完全性の原因の1つである,観察実施上の回数・間隔の細密化の制約による事象生起時の特定化困難を研究課題とした。本問題に対し,次の様な統計的アプローチを試み,他の方法と比較し,有効性を確かめた。
1.1次元区間データの場合
確率変数Xがある連続分布〓を持ち,〓が〓からの標本である時,データは
〓(i=1,…,n)
と表わされる。この時,データ群〓から〓を推定する事になる。あらかじめ〓としてパラメトリックに推定する場合とノンパラメトリックに推定する場合とがあるが,これらについては,Kulldorff,Peto,Turnbullらの手法が発表されている。
2.2次元区間データの場合
1はいわば事象生起時のみを推定する場合にあたる。臨床上,しばしば問題となるのは罹病期間,治癒(1時的寛解)から再発までの期間等の2次元データの場合である。
確率変数(X,Y)がある連続分布〓を持ち,〓のペアに対し,データとして

〓(i=1,…,n)
が与えられる。定式化の為にnotationを次の様に定める。
〓:観察開始期より事象生起までの時間のr.v.
〓:事象持続期間のr.v.
このとき,〓それぞれ区間データとして


という形で得られることになる。仮谷(1980)はこのデータを

として1次元区間データにおき直し解析しているが,本来,〓とも独立変数であり,あくまでも2次元データとして取り扱う方が良いと考える。すなわち
X,Y〓に対し,確率密度関数,分布関数それぞれ

とし,U=X+Y,V=Yの同時密度関数,分布関数をそれぞれ

とすると


したがって尤度に対するcontributionは

となる。ここで,X,Yについて適当な分布を仮定することにより,区間推定が可能となる。今回は,X,Yそれぞれについて,指数分布を仮定し,シミュレーションを行い,仮谷のデータおよび結果と比較した。その結果一般に仮谷らより小さいSDで推定値が得られ,本手法の有効性が確かめられた。今後は,他の分布を仮定したときの性質を調べたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本統計学会(1986)
区間データの統計的扱いについて
中央大学理工学部紀要(1987)
Parameter estimation from interval censored data
日本眼科学会(1987)発表予定
応用統計学会(1987)発表予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

疾病の持続期間や余命分布などの生存時間データに伴う不完全性の原因は,(1)観察実施上の回数・間隔の細密化の制約による事象生起時の特定化困難,(2)脱落・中途打切り例を含む比較的少数標本に基づく母集団の特性推定上の困難,などがあげられる。本研究では,未だ,手法が確立していない。(1)に起因する不確定性に対し,情報修復のための統計手法の開発を試みる。さらに,(2)の既存手法と組みあわせ,実データ解析も試みる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

白土 城照

東京大学