平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2038

専門分類

7

研究課題名

色調の異常を主体とした皮膚病変の数値化と増殖・分布モデルの作成

フリガナ

代表者氏名

イマヤマ シュウヘイ

今山 修平

ローマ字

Imayama Shuhei

所属機関

国立病院九州医療センター

所属部局

皮膚科

職  名

臨床研究部副部長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究の背景:シミとは黒ずんでみえる限局性の色調変化であり「黒ずむ」のは入射光が内部で吸収
されたためである。ヒト皮膚では可視光のほぼ全波長を吸収するのはメラニンであり、確かに顕微
鏡にて観察するとシミ病変部ではメラニン量が増加しているため、従来からシミの原因はメラニン
産生細胞であるメラノサイトの異常であると考えられてきた。
作業の仮説:そもそもメラノサイトは樹状の長い突起を放射状に出す細胞であり、表皮内では一定
の間隔にて(Voronoi)分布している。従って局所的にメラニン産生亢進が起きるには、?メラノ
サイトに異常があって(腫瘍のように)メラニン産生亢進クローンが増殖したか、?表皮細胞など
の周囲からの作用により(反応性に)産生促進が起きたかのいずれかである。?であれば細胞分布
に異常がみられ、?であれば分布ではなく個々の細胞のメラニン含有量が増加すると思われる。
経過と成果:そこでシミを(表面反射を除去して)詳細に観察したところ、メラノサイトの分布に
は変化がないこと、予想外に、表皮細胞のメラニン含有量が増加していることが判明した。このこ
とからシミの病変部では表皮細胞へと受け渡された後での貯留異常が関与していることが判明し
た。メラノサイト分布に関しては、皮膚表面のキメ(皮溝)に一致してメラノサイトが分布してい
ないことも判明した。以上の観察結果からシミの病態には、(もちろんメラニン産生亢進も貢献し
ているとは思われるが)表皮側が主導的に関与している可能性が示され、従来とは異なる治療法の
可能性が示唆された。
現在の研究:そこで上記を確認するために、共焦点レーザー顕微鏡を用い、個々のメラノサイトを
樹状の突起の先までを描出して分布と形態を詳細に観察することにより、皮溝の部分にはメラノサ
イトが存在しないかどうかを正常とシミとの双方で確認する研究を開始した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.福田英三,原口 勝,今山修平:皮膚腺病。Visual Dermatology 3:632-3,2004
2.今山修平,上田説子,磯田美登里,本多久夫,種村正美:Chemical peelingの作用機序。日本美容皮膚科学会
雑誌 14:12-9,2004
3.城戸真希子,今山修平,瓜生美樹,河崎玲子,竹下盛重,上田説子,古江増隆:類上皮肉腫の1例。西日本皮
膚科 66:585-9,2004
4.城戸真希子,河崎玲子,細川知聡,行徳隆裕,今山修平:紫外線C発生装置(クリンライザー)による皮膚障
害事故?UVCによる皮膚障害についての検討を含めて?。日本皮膚科学会会誌 114:1911-6,2004
5.今山修平,河崎玲子。乳幼児アトピー性皮膚炎のスキンケア治療。小児科 45:1703-13,2004
6.今山修平。基底細胞癌?総説?基底細胞癌の特異性。Visual Dermatology 3:1122-7,2004
7.河崎玲子,今山修平:BCCの92歳,4個(顔3個,背1個)の多発例。Visual Dermatology 3:1168-9,2004
8.行徳隆裕,今山修平:紫斑病に関する検査(出血・凝固系の検査)。皮膚科検査法ハンドブック。pp27-33,2004
9.今山修平,河崎玲子:乳幼児アトピー性皮膚炎の特徴とスキンケア治療。皮膚の科学 3:s68-s75,2004
10.今山修平:コラーゲンの外用および食品としての摂取。日本医事新報 4213:109-10,2005
11.今山修平:遠心性環状紅斑。Visual Dermatology 4:128-30,2005
12.Furue M,Kohno Y,Yamamoto S,Aoki T et al.Therapeutic guidelines for atopic dermatitis 2002.Allerg
Int 54:45-9,2005
13.今山修平:真皮結合組織の機能と構造。美容皮膚科学,pp44-55,2005

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所

本田 久夫

兵庫大学