平成10（1998）年度　共同研究Ａ実施報告書

課題番号	10−共研−15			専門分類		1
研究課題名	無限分解可能過程に関連する諸問題
フリガナ 代表者氏名	ワタナベ　トシロウ 渡部　俊朗			ローマ字
所属機関	会津大学
所属部局	総合数理科学センター
職　　名	講師
所在地
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	17　人

研究目的と成果（経過）の概要

無限分解可能過程は有限次元分布が無限分解可能な確率過程であり、加法過程や正規過程また広い意味の安定過程などを含む豊富な研究対象である。近年、これらの確率過程に関連する新たな諸問題が提起されている。昨年に引き続き、本年も無限分解可能過程に関連する様々な研究を継続・発展 させることを目的とする。


本研究は志村隆彰氏を代表者として2年間続いた同名の共同研究を引き継いだものである。平成10年6月11日〜13日に統計数理研究所において研究集会を開催した。発表の内容は大きく分けて、確率過程に関するものと分布に関するものに分けられる。
確率過程については、ダムの確率過程の新しい定式化や1次元の場合の再帰性の判定条件の解析に加え、無限マルコフ粒子系の標本関数の性質ついての報告がなされた。
分布に関する話題としては、独立確率変数の和の極限分布のつくる減少するクラスと半安定分布のつくるクラスとの関係やそれらに属する分布の連続性に関する報告と、正則変動する尾部をもつ分布についてのタウバー型の極限定理やそれらを分布としてもつ独立確率変数の積の分布を詳細に調べた報告などがなされた。
これらの研究は無限分解可能性と言う言葉を鍵として1つにまとまっており、今後のこの方面の研究の発展につながる重要な成果であると思われる。
この研究集会で発表された講演内容は、その後の共同研究者間の討論等を通して深められ統計数理研究所共同研究リポート112 「無限分解可能過程に関連する諸問題（3）」として既に公表され各大学等に配布されている。
〔研究会の場合　開催期間：平成10年6月11〜13日　開催場所：統計数理研究所〕

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

N. Kosugi, Tauberian theorem of exponential type and its application to multiple convolution, J. Math. Kyoto Univ., 39･2 1999.
S. Hiraba, Asymptotic behavior of hitting rates for absorbing stable motions in a half space, Osaka J. Math., 34・4, 1997.
T. Watanabe, Continuity properties of distributions with some decomposability, To appear in J. Theoret. Probability, 1999.
K. Inoue and N. Takayama, A stochastic model for a dam with non-additive input, in Trends in Probability and Related Analysis (N.R.Shieh and N.Kouno ed.), World Scientific, 1999.
K. Inoue, A stochastic model for a dam with non-additive input, Symposium on Analysis and Probability, 1998.11.23-27.
志村隆彰, Distributions with regularly varying tails and Mellin-Stieltjes convolution(II), 日本数学会,　1998.10.1
平場誠示, Intermediate processes between measure-valued branching processes and Fleming-Vipot processes, 統計数理研究所, 1998.11.4
渡部俊朗, B-分解可能分布とその部分類の連続性,　日本数学会, 1998.10.1

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

この共同研究は前年を引き継いで、無限分解可能過程に関連する様々な研究をより詳細に発展させる。具体的な研究対象としては、加法過程の再帰性などの標本関数の性質や、極限操作で得られる分布族、正則変動する尾部をもつ分布の分解などの分布に関する事柄に加え、自己相似過程、広義安定過程、正規過程の性質も含め幅広い話題を扱う。各共同研究者は、日頃から相互連絡を取り合い研究を進めるが、成果がある程度整った段階でそれを発表し討論することがさらなる研究の発展のために不可欠である。そこで、統計数理研究所において、互いに情報交換するための研究集会を開催する予定である。さらに、年度末には、得られた成果を共同研究リポートの形でまとめて発表する計画である。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
石川　保志	筑波大学
井上　和行	信州大学
笠原　勇二	お茶の水女子大学
古城　克也	新居浜工業高等専門学校
佐藤　健一	名古屋大学
佐藤　由身子	愛知工業大学
志村　隆彰	統計数理研究所
高嶋　恵三	岡山理科大学
高山　直樹	信州大学大学院
竹中　茂夫	岡山理科大学
平場　誠示	大阪市立大学
前島　信	慶應義塾大学
森　俊夫	横浜市立大学
安田　公美	九州大学
山里　眞	琉球大学
山室　考司	愛知江南短期大学