昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−3

専門分類

1

研究課題名

Elliptical母集団に於ける漸近分布理論について

フリガナ

代表者氏名

ハヤカワ タケシ

早川 毅

ローマ字

所属機関

一橋大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量解析に於いて,正規母集団にもとづく各種検定統計量の分布理論はここ10年間に大きな発展を見た。そこでこれら統計量の非正規母集団に於ける行動を検討することが重要である。
本研究は正規母集団に近い(含む)Elliptical母集団でのRobustnessを漸近理論の立場から見る,と同時にInvariaut poly.を用いたPower series表現にも光味ある問題が有る。


統計的多変量解析において,正規母集団にもとづく様々な統計量が提案されてきた。この様に母集団分布として,正規分布を仮定することによって導かれた統計量が,モデルの正規分布からのズレに対して,どのような影響を受けるか,すなわち統計量のRobustnessについて考察される様になった。
本研究は,正規分布からのズレということに対して,Elliptical母集団を仮定し,統計量の漸近分布を導出し,検出力をみることによって,頑健性の検討を行った。
(i)多変量正規母集団での共分散行列に関する,いわゆる長尾の統計量が本質的にはRaoの統計量と一致することを示し,これら各種統計量のElliptical母集団での検出力関数の漸近分布を導出し,数値例を示した。
(ii)標本相関係数のFisherのz−変換がElliptical母集団(のある分布族)のもとでも有効に作用することを示した。さらにこの種の変換は,正準相関係数,重相関係数,偏相関係数に対しても,Elliptical母集団のもとで有効であることを示した。またこれらの導出法は(i)とは異なる簡単な方法で導出できた。
(iii)種族間の類似性の度合を探るための研究に関連して,いくつかの線内相関係数が等しいといえるか否かの仮説を検定するための統計量を導出した。また,その基準頑健性を検討するため,Elliptical母集団を仮定したもとでの分布を導出し,比較検討を行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.On testing hypotheses of covariance matrices under an elliptical population,J.Statist.Planning & Inference (1986).B,193−202
2.Normalizing and variance stabilizing transformation of multivariate statistics under an elliptical population (発表予定)
3.Testing the equality of several intraclass correlation coefficients (発表予定)
4.Inferences about inter−and intra−class correlations from familial data (発表予定)


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

Elliptical母集団に於ける標本共分散行列Sのpdfの1/〓の項までの漸近展開はHayakawa and Puri(1985,Toappean in Bionetrika)でなされ,共分散行列の固有値,固有Vectorの検定(1985,Toappeare in Jour Stat.Plan.Inf.),相関係数とFisher変換(1985,Submitted)について検付された。そこで,Sのpdfを1/nの項まで求めると,Elliptical母集団そのものでの各種統計量の検出力が程んど求められる。これにより,この分野の研究は「ひとくぎり」が出来る。しかし,この導出はMomentsの計算にもとづいており,その表現からしてある種の対称性を持つので計算機で処理できるはずである。この種のことをHayakawa and Kikuchi(1989 South Af.J.)で行っているので,それを参考にしたい。
3年の継続としたい


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安芸 重雄

大阪大学

小西 貞則

九州大学

橋本 明浩

千葉大学