平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−12

専門分類

1

研究課題名

統計学における空間構成についての再検討

フリガナ

代表者氏名

タグチ トキオ

田口 時夫

ローマ字

所属機関

東京経済大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

特に経済統計学の分野では,従来より統計対象及び統計方法論の両面に於て,ストカスチックな視点とダイナミックな視点とが両立し,両者の関係は微妙である。代表者は,これまでの方法論研究により,ダイナミックな観点に近い「集中解析システム」の形成を一歩進めることが出来たので,その成果を上記の課題に適用することを目的とする。


経済統計に代表されるように,統計学の対象は,単に規模分布の分析にとどまらず,しばしばシェア分布及び両分布間の関係を分配構造として,分析の対象に加えねばならない。
そこに分配ベクトル空間を設定し,新たな統計解析体系を形成し検討する必要が生ずる。
二変量に関する分配ベクトルについての研究は,既に前年度に一応の終結をみたので,本年度は一般的に多変量に関する分配ベクトルについての研究を進めた。
その結果二変量の場合を含み,従来の個別の成果を総括する解析体系についての基本的な見直しを得ることが出来た。それは在来のスカラ的演算子に基づくモメント形式に代り,一種のテンソル的演算子に基ずくモメント形式を与え,其等のモメント間の単純な代数的演算によって分配率統計量を構成することである。
その内容は後掲の研究発表欄の諸論文が示す通りである。
又その中間的成果は,スイスNeuchabl大学で8月21日〜24日に亙り開かれた。
International Conference on Recent Development in Statistical Data Analysis and Inference in Honor of C.R.RAOに於て
“Vector prodirct moments and System of concentration statistics”
として報告された。
又より集括的成果は,統計数理研究所年度末研究報告に於て
「一般次元の分配率空間と集中モメント−経済統計の幾何学的解析法−」
と題して発表された。
又次年度(1990年7月)には「集中モメントと集中曲面の特性化」として日本統計学会に報告が予定されており,引続き10月にはIAOSの第3回大会に於て
“The Bracket Product Moment and the System of Descriptional Statistics based on Them”として中国の北京に於て報告が予定されている。本研究は以上により一応完結したものと考えられる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.T.Taguchi,“Vector products moments and system of concentration statistics(invited paper)本文中
1.田口時夫「一般次元の分配率空間と集中モメント−経済統計の幾何学的解析法−」本文中
「統計数理」第38巻第1号掲載予定
1.田口時夫「集中モメントと集中曲面の特性化について」
1990年7月,日本統計学会報告予定
1.T.Taguchi“The Bracket Product Moment and the System of Decriptional Statistics based on Them,1990 Oct 16−19,Second Independent Conference of the International Association for Official Statistics(IAOS)発表予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

所謂経済モデルといはれるものにはストカスチックな線形モデルと共に,非線形な関数モデルが想定されている。この後者は,弾力性係数を構造パラメーターとして含むことが多く,その基礎はダイナミックな観点を予想されることが多い。集中解析のシステムは弾力性係数の測定に適した方法とその誤差評価を与えることが出来るから,その適用を通して,従来の此の方面での研究を一歩進めることが出来る。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岸野 洋久

東京大学

藤沢 建二

岩手大学

丸山 直昌

統計数理研究所