平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−50

専門分類

6

研究課題名

伊豆東方沖群発地震の点過程解析

フリガナ

代表者氏名

イモト マサジロウ

井元 政二郎

ローマ字

所属機関

防災科学技術研究所

所属部局

地圏地球科学技術研究部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

手石海丘を出現させた一連の伊豆東方沖群発地震に於ける地震発生の時間的特徴を点過程解析の手法で明らかにし、地震の発生様式からその後の群発地震活動の経過を予測することが可能かどうかを検討する。


伊豆東方沖に多数回発生している群発地震活動のうちでも手石海丘の噴火を伴った1989年夏の活動についての解析を行った。科学技術庁防災科学技術研究所の微小地震観測網で震源決定された地震からM3.0以上のこの地域の地震を選びだし使用した。この均質カタログに適合し、なおかつ物理的にも妥当な点過程モデルを開発した。その結果、以下のことが明らかになった。
活動派VIの活動期に分かれる。第I期にはexponentialに地震発生率が上昇した(倍増期半日)。第II期には第I期最終の1/2に発生率が低下し、第III期にはさらに発生率が1/10になる静穏化が出現し、第IV期には再び活動が活発化して最大地震が発生した。第V期には最大地震の余震活動が主となり、発生率が改良大森型で減衰するが、手石海丘の噴火以前、大きい火山性微動の観測され始めた時点で第VI期になり、発生率が急減し改良大森型ではなくexponentialで減衰してその途中で噴火活動が発生している。
続発性により発生した地震は第I期から第VI期までは岩石実験風のexponentialに減衰するモデルが適合し、V期は改良大森型、VI期には続発性はM≧3.0ではみられなかった。また、震源の位置によって地震の大きさが限定されるというこの地域の地震活動の特性を反映して続発性は母地震の大きさによらない型であった。続発性により発生した地震は第I期で全体の6割、II〜V期で3割である。
最大地震発生までは、マグマの上昇・移動に地震発生が伴っていたが、最大地震後はそれまでの活動で非地震的に上昇可能になったマグマが火山性微動をおこしながら活動し、少量表面に噴出したのが手石海丘であり、群発活動としては微動発生以前に終息段階に入っていたことになる。また、最大地震発生前には地震発生率の急激な静穏化・その回復がみられ終息段階では改良大森型で順調に活動が減衰していることから、今回の様な群発活動の場合には、急激な活動度の低下は活動の終息ではなく新たな展開の前兆である危険が大きく、改良大森型で滑らかに活動が低下すれば終息期に入ったと予測できそうである
噴火に関しては、微動発生時点で地震発生率が急減していることから、マグマの出口が形成されたことを推定できる。また、発生率が減衰していることから、地下から多量のマグマが一度に噴出する可能性は低いことが推定できる。しかし、これが実際にどの程度の表面活動になるのかは地震活動度だけからは判断できない。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

松浦律子・井元政二郎・尾形良彦,バースト型群発地震活動の点過程解析?(1)手石海丘噴火を伴った伊豆東方沖群発
?,地震学会,1992年10月28日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

科学技術庁防災科学技術研究所の微小地震観測網で捕らえられた精度のよい地震カタログの中から、伊豆東方沖の地震の発生時刻のデータを用いて、地震発生率の時間関数を点過程解析で求める。この種の研究は、統計数理研究所の尾形らが中心となって、最近推進されている分野であり、地震活動の詳細な検討を可能としている。特に研究例の少ない群発地震に関して、良質なデータの得られる伊豆東方沖の事例を検討することは有意義であり、解析結果が、群発地震や火山噴火の経過予測に大いに貢献することが期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所

松浦 律子

地震予知総合研究振興会