平成232011)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

23−共研−4314

分野分類

統計数理研究所内分野分類

g

主要研究分野分類

3

研究課題名

転移因子のゲノム進化に及ぼす影響

重点テーマ

ゲノム多様性と進化の統計数理

フリガナ

代表者氏名

ナカジマ ユミコ

中島 裕美子

ローマ字

Nakajima Yumiko

所属機関

琉球大学

所属部局

熱帯生物圏研究センター・分子生命科学研究施設

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

 ゲノム中にかなりの割合を占めて散在している転移因子(トランスポゾン)がゲノム進化に及ぼす影響をについて、ゲノム情報が公開されているモデル生物を比較対象とし、近縁の野生生物も用いて、転移因子の種内レベルの多様性(多型)を、定量的・実証的に解析し、環境要因、転移因子、ホストゲノムの関係の解明を目的に掲げた。
 具体的には、ゲノム解読がほぼ完了したカイコ、カイコと共通祖先から分岐したと考えられているクワコの第6番染色体上のBmTNML座位に存在する転移因子mariner-like element(MLE)と、それに挿入されているいくつかの転移因子の多型配列を用い、コアレセントモデルに基づくベイズ推定により次のことを明らかにした。1.転移因子MLE, L1Bm, BMC1とホストゲノムの置換速度はほぼ同じで、これらの転移因子をイベントの時刻の推定に使える。2. この座位のMLEはカイコとクワコの共通祖先のゲノムに挿入した古いMLEである。3. BmamaT1とホストゲノムの塩基置換度は異なり、またBmamaT1のTMRCAは小さかったことから、BmamaT1は一部のクワコ集団ゲノムに最近と挿入され、また抜け出たことが確認された。4. クワコの多様性は有効集団サイズにして500万、1000万年前に共通祖先で確立した。5. カイコの多様性は有効集団サイズにして15万、30万年前に共通祖先で確立したが、家畜化されたのはクワコのごく一部だが数匹ではないということが推測された。以上の結果から、この手法は他の生物ゲノムにおける転移因子ゲノム挿入年代推定に応用できること、また、BmamaT1はクワコにおいて現在も活性を持っている可能性が示唆された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1)論文は近日中に投稿予定である。

2)学会発表
Nakagome, S., Mano, S., Nakajima, Y.
Ancient Mariner Transposon Targeted by Other Transposable Elements in the Genome of Bombyx mori and B. mandarina
Annual Meeting of the Society for Molecular Biology and Evolution
2011年7月 京都大学

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

統数研共同利用重点型研究集会に参加、発表
平成23年10月25日、26日

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川西 祐一

琉球大学

前川 秀彰

琉球大学