平成302018)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

30−共研−4305

分野分類

統計数理研究所内分野分類

h

主要研究分野分類

4

研究課題名

機械学習の地球惑星科学への応用

重点テーマ

統計的機械学習の新展開

フリガナ

代表者氏名

フクミズ ケンジ

福水 健次

ローマ字

Fukumizu Kenji

所属機関

統計数理研究所

所属部局

数理・推論研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

20千円

研究参加者数

6 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

【研究目的】 隕石は小惑星の小片が地球に飛来したものであることが予想されてきたが,ハヤブサが小惑星イトカワから採取したサンプルの分析などにより,その予想はほぼ確実なものとなっている.小惑星は太陽系の歴史に関する情報を多く有していると考えられるが,直接的な分析は容易でないため,地球で多く採取できる隕石を分析することによって小惑星の情報が得られれば,太陽系や地球に関する理解をより深めることができると期待される.しかしながら,個々の隕石標本がどの小惑星から飛来したものかは,ほとんどの場合不明であり,直接的な対応を取ることはできない.小惑星と隕石に対しては,それぞれ固有の分類体系が存在するが,それらのクラスの対応をとることも,ごく一部にしか可能となっていない.

本研究では,小惑星と隕石に対して別々に存在している観測・計測値のデータベースを用いて,機械学習的な方法を開発することによって,小惑星と隕石の分類体系をマッチングする方法を研究する.これによって,隕石グループと小惑星のグループの対応付けが可能とし,隕石の分析によって小惑星の理解を深めていく.この研究課題は,サンプルに対応のない2ドメインのクラスタ構造(分類体系)のマッチングの問題であり,機械学習的にも挑戦的な課題である.

カーネル法に基づく各ドメインのクラスタリングと,2つのクラスタリング結果のマッチング類似度を計算し,それを大きくするようにクラスタリングとクラスタマッチングを貪欲法により最適化するアルゴリズムを適用し,3つのクラスが高い精度でマッチングできることを確認した.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究集会「統計的機械学習の新展開」での講演
「小惑星-隕石のマッチング 〜カーネル法の教師ありクラスタリングへの応用〜」
斎藤侑輝

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究集会「統計的機械学習の新展開」
2019年1月17,18日
場所:統計数理研究所


参加人数 1月17日31人  1月18日13人


-- プログラム --
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1月17日

10:00-10:10 オープニング


10:10-11:10 活性化関数としての ramp 関数の利用
柳本武美 (統数研), 大草孝介(九州大)

11:10-12:10
予防医療分野における疫学データへの機械学習技術活用について
〜ランダムフォレストを用いた血液データからの糖尿病発症予測を例に〜
大岡忠生(山梨大)



12:10-13:30 昼食



13:30-14:30 機械学習による新物質発掘
吉田亮(統数研)

14:30-15:30 ガウス過程回帰の量子ビーム計測への応用
上野哲朗(量研)

15:45-16:45 【特別講演】機械学習によるデータ駆動型医療データ解析
川上英良(理研)

16:45-17:45 ガウス過程によるポアソン集計回帰モデル
福水健次(統数研)



1月18日(金)

9:30-10:30
データの類似度を用いたX線吸収スペクトルからの物理量推定
鈴木雄太(理科大)

10:30-11:30 惑星探査におけるデータ駆動的アプローチの事例
洪 鵬(千葉工大)

11:30-12:30 小惑星-隕石のマッチング
〜カーネル法の教師ありクラスタリングへの応用〜
斎藤侑輝(総研大)

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研究参加者一覧

氏名

所属機関

斎藤 侑輝

総合研究大学院大学

新原 隆史

東京大学

洪 鵬

東京大学

宮本 英昭

東京大学