平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−4

専門分類

1

研究課題名

有限グラフ上のランダムウォークとエントロピー

フリガナ

代表者氏名

ヨシダ ヒロアキ

吉田 裕亮

ローマ字

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

理学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

両側無限の直線上のランダムウォークは二項分布と密接な関係がありどの頂点から始めても等質である。片側無限の半直線上のランダムウォークや(連結な)有限グラフ上のランダムウォークは反射壁のあるランダムウォークであり、グラフの形状とその始点によりいろいろと変わった振る舞をする。これらのランダムウォーク(力学系)の分類をエントロピーを用いて試みることを目的とする。


グラフ上のランダムウォークに付随した確率空間を考える。これはランダムウォークの有限経路とその経路が選ばれる確率で重みを付けるのである。次にこの有限離散な確率空間の帰納極限を考える。もちろん埋め込みは経路の延長という自然な埋め込みで以って与えられるものとする。この共同研究では上記の非可換版を考え、その性質を調べることにある。有限離散な確率空間の非可換版は作用素のなす代数として考えられ、この場合行列環の直和と同型である。したがってこの共同研究で扱のはこれら行列環の直和の帰納極限である無限次元の対象である。
共同研究では、この連続かつ無限次元の対象の中に潜む離散的な構造を調べることにある。もちろん多くのグラフで上の様な構成は可能であるが、ある堅固な条件を満たす無限次元の組を構成するためのグラフを見つけ出すのが問題する。平成4年度ではいくつかの有限グラフの系列でこれが可能であることを調べた。またこの逆の問題にあたる、無限次元の組からグラフ論的な構造を取り出す問題を考えることにより、treeの様な再帰的に定義される様な無限グラフでも同じ問題、すなわちある堅固な条件を満たす無限次元の組を構成するためのグラフを見つけ出すのが問題が考えられることが分かる。
平成5年度は有限グラフに限らず無限グラフでこの問題を考えるように拡張発展させたい。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

連結な有限グラフ上のランダムウォークにおける各頂点間の推移確率グラフの形状を表す隣接行列のPerron Frobenius固有ベクトルと関係している。この行列は、この力学系(ランダムウォーク)のラプラシアンともみれる。
ランダムウォークの軌跡を無限ダイヤグラム(Bratteli)の形で表すと、そこには始点の違いと元のグラフの形状および隣接行列のPerron Frobenius固有ベクトルの情報が含まれたものが得られる。これをエントロピーを用いて分類を行う。
これらはグラフ理論や確率論などの分野にまたがる研究であり、また関連研究者も散在している。そのため共通の討論を行う統数研の共同研究として応募するものである。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市原 亮

奈良工業高等専門学校

梶原 毅

岡山大学

川上 哲

奈良教育大学

渚 勝

千葉大学