平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2018

専門分類

2

研究課題名

次世代統計システムJaspの開発

フリガナ

代表者氏名

コバヤシ イクノリ

小林 郁典

ローマ字

Ikunori Kobayashi

所属機関

徳島文理大学

所属部局

工学部

職  名

講師

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

我々の研究の目的は,これまで研究されてきた計算機統計学の成果と近年のコンピュータ技術の成果
を導入した新しいタイプの統計システムを開発し,計算機統計学の実践のためのより優れた環境を提供
することである。このために,我々は,Java 言語を開発言語とした汎用統計解析システム Jasp(Java
based Statistical Processor)を開発している。Jaspは,Java 言語の持つ他言語に無い特徴を活かして,
従来の統計解析システムにはないさまざまな機能を利用者に提供する。
 平成14年度の研究では,次の4つの目標
(1)利用者支援機構の実現
(2)分散処理機構の基盤整備
(3)データ視覚化のための多次元描画機能
(4)言語処理機能とエラー処理機能の性能向上
を掲げ,これらについて重点的に活動を進めてきた。
 (1)は,Jasp が解析状況を判断して,次に実行することが望ましい解析手法(命令)を利用者に提示す
る機能を実装することである。特に,誰でもこの機能に関するルールを記述し,読むことができるよう
に,オブジェクト指向の枠組みを利用した。我々は,この機能が統計教育の現場やデータマイニングに
より発見された結果の2次利用の環境として使用されるものと期待している。
 次に,データの解析時間を短縮するために,ネットワークで繋がれているコンピュータを利用すると
いう発想のもとで(2)の目標の実現を試みた。幸いにも,この実現のためのいくつかのライブラリ(例え
ば,JavaSpace)がすでに公開されていたので,これらを Jasp 内に組み込み,Jasp の言語処理機能を
拡張した。データ解析に並列分散処理を活用するという研究はすでにいくつか報告されているが,我々
の挑戦は,エンドユーザである解析者が簡単に分散処理機能を記述・利用できるようにしてみたことで
ある。整備された環境は,データマイニングやシミュレーションなどでの活用が期待される。
 (3)の実現のために,データ視覚化ツール Davis を Jasp に組み込む作業を進めた。これにより,Jasp
上でいくつかの多次元データのグラフを対話的に表示させながら統計解析をすることができるようにな
った。これが統計解析に与える可能性については国際会議で発表した。
 システムが多様化するとそれを支えているシステムの言語処理機能の安定性やエラー処理機能をより
向上させなければならない。また,開発したシステムを使って実際に解析をしてみてはじめて言語処理
機能に必要な能力が明らかになることもある。そこで,Jasp の実践的な機能の開発と同時に(4)に挙げた
言語処理機能の性能向上とエラー処理機能の充実を図った。
 我々は,これらの研究・開発についていくつかの成果を報告することができたが,今後も引き続き開
発を進める必要性があると認識している。開発したシステムは,インターネット上において無料で公開
している。URLについては次ページを参照して欲しい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文
(1)A Mixed User Interface for a Statistical System,
Computational Statistics,Vol.17,No.3,pp.379-393(2002)
(2)A Procedural and Object-oriented Statistical Scripting Language,
Computational Statistics,Vol.17,No.3,pp.395-410(2002)
学会発表
(1)Representing Knowledge in the Statistical System Jasp,
Proc.in Computational Statistics 2002(Haerdle,W.& Ronz,B.eds.),
Physica-Verlag,pp.503-508(2002)
(2)Parallel and Distributed Computing in a Java Based Statistical System,
Proc.of the Conference Compstat 2002-Short Communications CD-ROM(2002)
(3)Adding visualization functions of Davis to Jasp:Mixing two Java-based statistical systems,
Workshop on Data Visualization for large data sets and Data Mining,Germany(2002)
(4)統計解析システムにおける並列分散処理機能の実現,
2002年度統計関連学会連合大会講演報告書,pp.151-152(2002)
ホームページ
http://jasp.ism.ac.jp/

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

宋 光烈

成均館大学(韓国)

田村 義保

統計数理研究所

中野 純司

統計数理研究所

許 文烈

成均館大学(韓国)

藤原 丈史

青山学院大学

宮田 敏

財団法人 癌研究会ゲノムセンター

山本 由和

徳島文理大学