平成101998)年度 共同研究B実施報告書

 

課題番号

10−共研−14

専門分類

6

研究課題名

大きな余震発生の確率予測

フリガナ

代表者氏名

オガタ ヨシヒコ

尾形 良彦

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

大地震の後、多くの余震が発生するが、この発生パタンをもとに大きい余震の確率予測はどのようにして実現可能なのか、確率予測の結果はどのように評価されるべきであるのか、これらの検討をデータにもとづいて具体的にすすめる。


活動中の地震群(複雑の地震)の時間・空間的集中度とマグニチュード列の増減パタンに関する効果的な識別情報に基づき、格段に大きな地震が起きる条件付き確率をリアルタイムで予測する統計モデルを構成した。この確率予測の有効性はAIC比較などによって示すことができた。また、最初の地震が起きた場所を考慮した地域性による条件付き確率の変動をベイズ的平滑化法で求めた。さらに、これらの2つの確率予測(条件つき確率)を複合予測公式によって組み合わせると、より優れた確率予測になっていることが確かめられた。
これとは別に、ETASモデルを使って、日本周辺の余震活動八十数例を解析した。変化点が無く単一のETASモデルで順調に表現できる場合と、変化点があり相対的静穏化がみられる場合では、余震域の周辺地域で10年内のスケールで大地震が起きる確率に有意な違いが見られる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

尾形良彦, 前震の事前識別, 月刊地球特集「南海地震:次の巨大地震に備えて」号外 No.24, 167−173, 1999年3月.

Y.Ogata, Modeling of aftershocks and relative quiescence as a precursor to a large earthquake (Solicited Paper), ヨーロッパ地球物理学会第23回大会NH3分科会, Nice, France, 1998年4月20日.
Y.Ogata and T.Utsu, Foreshocks, their recognition and propertirs : Leading discussion, Seismicity Patterns, Their Statistical Significance and Physical Meaning, 金谷ホテル, 日光, 1998年5月11日.
Y.Ogata, Modeling of aftershocks and change-point analysis, The 1998 Joint Statistical Meetings (ASA, IMS, ENAR,WNAR, SSC)・Modeling and Model Selection : Theory and Application (Invited Session), Dallas, U.S.A., 1998年8月11日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

点過程ETASモデルや改良大森モデルは一定のマグニチュード以上の全ての地震の発生率の推移を予測するものであるが、ここでは大地震、大粒の余震の確率予測をするための点過程モデルを考える。共同研究者のVere-Jones教授のStress-Releaseモデルはそのような大地震発生の点過程モデルであるが中小の地震発生や他の関連の情報を組み込んだものではないので、包含している情報量は希薄で未だ実用化には程遠い。この共同研究でETASモデルの残差時系列などを入力データとして組み込んだモデルの開発を試みてみたい。Harte博士はVere-Jones教授プロジェクトグループの主協力者である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岩田 貴樹

京都大学大学院

Vere-Jones David

ヴィクトリア大学

Harte David

ウェリントン、ヴィクトリア大学