平成152003)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

15−共研−6

専門分類

7

研究課題名

Beyond Analysis of Variance

フリガナ

代表者氏名

ヒロツ チヒロ

広津 千尋

ローマ字

Hirotsu Chihiro

所属機関

明星大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

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研究目的と成果の概要

Beyond Analysis of Varianceとは分散分析法の拡張を意味しているが,特に単調
回帰問題の様々な拡張を研究している。応用としてはよく知られた化学,臨床試験
分野における用量・反応曲線解析や,経済のインプット・アウトプット解析が考え
られる。通常よく用いられるのはパラメトリックな接近法であるが,モデルを特定
することは一般に難しい。一方,用量・反応曲線の形状に自然な無理のない仮定と
して,単に単調性,凸性,S字性などを仮定したノンパラメトリックな接近法は大
変頑健であり,応用範囲が広い。そこで本研究では,これらの形状制約の下での統
計的推定・検定の方法を研究する。特に2因子の交互作用を考えると両因子に順序
が想定される場合,一方のみに順序がある場合というようにいろいろな場合が想定
される。本研究ではなるべく具体的な応用場面を想定し,有用な具体的方法を与え
ることを目的とする。
 より具体的に,本年度は血圧の24時間測定値のプロファイル解析の方法を研究
した。血圧は,健常者においては夜間適度に低下することが知られているが,それ
が平坦になったり,逆に上昇したりする患者が存在し,いろいろな障害の原因とな
る。そこで,被験者の血圧プロファイルを夜間凸型,凹型の程度に従って分類する
ことは,治療上大変有益な情報となる。これは,血圧を特性値とし,被験者を行因
子,時間を列因子とする2元表の交互作用解析の問題として捉えられる。とくに列
(時間)に自然な順序があり,本研究で対象とする典型的な問題といえる。数学的
には,時間軸に沿った凹凸のパターンを特徴量とする行の多重比較の問題として定
式化される。本年度は,この多重比較による分類結果の有意性を検証する統計的
方法,およびそれを実行する具体的な計算機プログラムの開発に成功した。この結
果は高血圧患者において,単に降圧治療のみならず血圧プロファイルのコントロー
ルを目指す,いわゆる個の治療を支援するものとして,共同研究者である医学関係
者からも評価されている。