平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−41

専門分類

5

研究課題名

非球粒子による空間的ランダム密構造のモンテカルロ法

フリガナ

代表者氏名

タネムラ マサハル

種村 正美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

現実に現れる空間パターンは形をもった対象の集団から成っている。そのような空間パターンの統計モデルをつくる際,対象が球対称性をもつことを前提にして記述されることが普通である。しかし,自然界に見られる対象の多くは球対称性をもたない非球粒子である。従来の記述が成立するのは密度の低い場合であり,密度が高くなって粒子同士が接触する状況では,粒子の固有の形が空間パターンに反映する。本研究では非球粒子のランダム密構造のモンテカルロ法を研究する。


球対称でない粒子、つまり異方性をもつ粒子からなる空間配置は普遍的に見られる。このような空間配置パターンの統計モデルを構築するために、球対称性を持たない粒子系の空間配置の研究を計算機シミュレーションを通じて行うことが本研究の目的である。
今年度は、前年度に行ったランダム充填のシミュレーションとその構造解析に引き続いてマルコフ連鎖モンテカルロ法のシミュレーションを長方形や、楕円の粒子系に関して行い、それらの空間構造の特徴付けや、データへのモデルの当てはめを行った。
空間構造の特徴付けの統計的手段として、動径分布関数を用いた。通常の動径分布関数は粒子の方位に無関係に2粒子間の距離の相関を測るものであるが、これを用いて空間配置の特徴づけをした。その結果、ランダム充填による空間配置とマルコフ連鎖モンテカルロによる空間配置との間に、長方形および楕円の粒子系それぞれに明確な違いが現れることが判明した。さらに、方位に依存する一般化した動径分布関数を新たに定義し、それを上記の両者に対して求めたところ、方位による空間構造の違いが一層明確に現れることがわかった。
さらに、今年度は、上記の二つの空間過程の違いに関して、生データとの比較を行い、いずれの過程に近いかを統計的に分析して、興味深い結果が得られた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Tanemura,M. "On Random Packings by Non-Spherical Particles", Acta Stereologica Vol.14, No.3, 1996 (To appear).

種村正美、「異方性をもつ粒子の空間配置の統計」、日本統計学会, 1995.07.27
Tanemura,M. "On Random Packing by Non-Spherical Particles", 9th Int.Congr.Stereology, 1995.08.21
Tanemura,M. "Methods of Simulating Random Patterns of Non-Spherical Objects and Its Application", 8th Int.Workshop on Stochastic Geometry.., 1995.08.30
種村正美、「異方性をもつ粒子集団の空間統計」、統計数理研究所共同研究会、1995.12.18

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

代表者は,従来より球対称粒子の空間パターンの統計学を主として計算機シミュレーションを手段として研究を行ってきた。一方,共同研究者は計算物理学の分野で,球対称粒子集団に限らず,非球粒子の物理系にも興味をもって研究を進めてきた。「研究目的」を達成するために,このような両者が共同して研究を実施すれば,有用な成果が得られると期待できる。また,計算機シミュレーションの実行のために,統計数理研究所の強力な電子計算機環境の利用が不可欠である。
本研究は次のような研究実施計画で行う。(1)非球粒子として具体的に考えるのは,平面上では長方形・楕円などであり,3次元空間では直方体・楕円体などである。(2)計算の方法はモンテカルロ法を採用する。(3)各々の対象粒子は重なりを許さない剛体粒子と見なしてシミュレーションのプログラムを作成する。そのアルゴリズムには空間的生成消滅過程を用いる。(4)対象粒子の各々のモデルに対して,計算機シミュレーションを高密度の領域で実行する。(5)結果をまとめる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 顯

京都大学