平成272015)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

27−共研−2082

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

5

研究課題名

回転円すいを用いた高粘度液体の微粒化と線条化

フリガナ

代表者氏名

アダチ タカヒロ

足立 高弘

ローマ字

Adachi Takahiro

所属機関

秋田大学

所属部局

大学院工学資源学研究科

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

58千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の申請者等は,頂角を下にした円すい体を水に浸し回転させることで,円すいの外表面を液が上昇し,液膜が形成される現象を見い出し研究を行ってきた.すなわち,回転する円すい体外表面には均質な薄い液膜流が形成され,液が安定的に揚水される.このとき円すい外表面の液膜には遠心力が加わるにも拘わらず液膜が飛散することはない.この薄い揚水液膜流は最終的には円すいの底部に固定した共に回転する円板に沿って微粒化して液滴となった後にミスト流として周囲に噴霧される.

噴霧される粒子の形態は,水の場合には液膜から微粒化し球形の液滴となるが,予備的な実験の結果,液体の粘性が水よりもわずかに大きな場合には線条の形態で周囲に放出される.すなわち,液は遠心力の円すい壁面方向分力によって揚水されるが,粘度が大きくなると曵糸性の影響が強くなり,遠心力がわずかに大きな位置から離散的に糸を引くように円すい壁面を上昇し線条の形態で周囲に放出されると考えられる.さらに粘度が大きくなりポリマーのような非ニュートン流体の場合については,その詳細は明らかではない.

このような回転円すいの外表面を薄い液膜流や線条流が上昇する現象はこれまでに報告例がなく,その詳細は明らかではない.そこで本研究では,どのような条件下で液膜流や線条流が形成されるのか,その臨界条件を明らかにすることが目的である.さらに,微粒化あるいは細線条化して液滴や線条塊となり周囲へ放出される流体塊の粒径や直径分布等について数値解析と実験計測を行い統計解析を行うことで,円すいの回転数と放出される流れの流量や線条塊の空隙密度等との相関関係を明らかにすることが目的である.

平成27年度の本研究では可視化実験を行い,揚水と微粒化への粘性の影響を調査した.ニュートン流体,非ニュートン流体のどちらも粘度が小さい場合には水と同様の膜状揚水現象が確認できた.一方,粘度が高い場合は水面の円形変化や円すい表面を糸状に上昇するなど特異な挙動が観察された.特にPVA溶液を使用した際に線条化が可能であることが示唆された.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文

1)Takahiro Adachi: Oxygen Transfer and Power Consumption in an Aeration System Using Mist and Circulation Flow Generated by a Rotating Cone,Chemical Engineering Science, Vol. 126, pp. 625-632, (2015).

2) 足立高弘: 回転円すいにより生成される循環ミスト流による溶存酸素の移動促進,化学工学論文集,第41巻,第2号,pp. 78-82, (2015).


学会発表

1) 平澤貴典・足立高弘 : 回転円すいの外表面を上昇する液膜流れの数値シミュレーション,オープンCAEシンポジウム2015@富山,富山,(2015),USB.

2) 回転円すいを用いた高粘度液体の微粒化と線条化,栗谷川雄大,足立高弘:日本機械学会東北支部第50期総会・講演会講演論文集, USB,(2015)

3) 回転円すいを用いた循環ミスト流の生成と溶存酸素の移動促進,久保俊輝,足立高弘:日本機械学会東北支部第50期総会・講演会講演論文集, USB,(2015)

国際会議

1) T. Hirasawa, T. Adachi, K Higashiono, J Okajima and T Akinaga : Heat and Fluid Flow Characteristics of Liquid Film Flow along Heat Transfer Surface with Microscopic Grooves, Proc. 12th International Conference on Fluid Dynamics, Sendai, Japan, (2015), USB.

2) Toshiki Kubo and Takahiro Adachi: Oxygen Transfer and Power Consumption in an Aeration Using Mist and Circulation Flow Generated by a Rotating Cone, Proc. 13th International conference on liquid atomization, Tainan, Taiwan, USB,(2015).

3) Yudai Kuriyagawa and Takahiro Adachi:Atomization and Filamentation of High-viscosity Liquid with a Rotating Cone, Proc. 13th International conference on liquid atomization, Tainan, Taiwan, USB, (2015).


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

江端 翔冴

秋田大学

佐藤 翔太

秋田大学大学院

平澤 貴典

秋田大学

宮里 義彦

統計数理研究所