平成272015)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

27−共研−5014

分野分類

統計数理研究所内分野分類

j

主要研究分野分類

3

研究課題名

動的生体情報論の現状と展望

フリガナ

代表者氏名

キヨノ ケン

清野 健

ローマ字

Kiyono Ken

所属機関

大阪大学

所属部局

大学院基礎工学研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

401千円

研究参加者数

25 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 生命・生体システムにおいて観測される振舞いや生体信号は動的であり, 非線形システム特有の複雑性を有する. これまで,そのような動的な特性については,生体機能上の重要性や,疾患の重症度や生命予後と関連が報告されている.我々は, このような動的特性を有する生体システムを解析し, 物理学的, 生物・医学的な理解を深めるための枠組みとして動的生体情報論の構築を目指している. また,近年の非侵襲生体計測技術, イメージング技術の発展は目覚ましいものがあり, そのような技術の医用診断への応用が期待されている.しかし, 測定された振舞いの解釈は従来の伝統的手法では困難な場合が多く, 生体計測技術を役立てるためには, 観測された生体信号データから有用な動的生体情報を抽出するための新たな解析技術が必要となる. さらに, そのような技術が実際の医用診断に役立つかどうかを検証するためには, 医学/生理学的な知見を踏まえ, 臨床的研究を含んだ形で実証的研究を積み重ねる必要がある. 本研究集会では, そのような動的生体情報の臨床応用に関連した問題について, 学際的な視点からその解決策を探ることを目的としている.
 本課題に関連した成果を発表し,今後の発展について議論するため,2015年9月10日(木)-11日(金)に統計数理研究所にて,研究集会を開催した.研究会での講演内容は,以下である.
「心臓興奮伝播解析の創薬への応用 」岡田 純一(東京大学)
「コンピュータシミュレーションによる心臓電気現象の基礎的研究」稲田 慎(国立循環器病研究センター)
「心筋細胞に備わった温度依存の高速自励振動特性」新谷 正嶺(東京大学)
「3次元スクロール波のフィラメントと特異点の生成死滅過程の数理」金野 秀敏(筑波大学)
「心拍変動に見られる分散不均一」森脇 康貴(大阪大学)
「睡眠時無呼吸症候群を合併した心疾患患者の睡眠ポリグラフデータの解析」松井 翔士郎(大阪大学)
「合分布モデルとq-対数変換を用いた生体情報クラスタリング解析」島谷 哲史(大阪大学)
「心拍変動に見られる振幅変調特性の解析」藤井 翔太(大阪大学)
「側頭葉てんかん棘波を生じる被験者の聴覚刺激における脳磁図解析」岸田 邦治(岐阜大学)
「脳幹におけるニューロン,アストロサイトの識別のための統計的画像解析」三分一 史和(統計数理研究所)
「進化過程と細胞情報処理:情報論的視点からの統合に向けて」小林 徹也(東京大学)
「スパイク時系列の統計性から探る大脳皮質の確率的情報処理」坪 泰宏(立命館大学)
「自発脳活動データからの繰り返し現れる時空間パターン推定」武田 祐輔(ATR)
「生後6ヶ月で睡眠紡錘波の左右同期率が最も低くなるのはなぜか?」佐治量哉(玉川大学脳科学研究所)



 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

統計数理研究所共同研究集会「動的生体情報論の現状と展望」の講演内容を論文化し,共同研究リポートとしてまとめた.

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

相原 孝次

株式会社国際電気通信基礎技術研究所・脳情報通信総合研究所・脳情報解析 研究所

稲田 慎

国立循環器病研究センター研究所

内山 祐介

筑波大学

岡田 純一

東京大学

加嶋 健司

京都大学大学院

角屋 貴則

筑波大学

鎌谷 研吾

大阪大学

岸田 邦治

岐阜大学

小林 徹也

統計数理研究所

金野 秀敏

国立大学法人筑波大学

島谷 哲史

大阪大学

鈴木 康之

大阪大学

武田 祐輔

株式会社国際電気通信基礎技術研究所・脳情報通信総合研究所・脳情報解析 研究所

田村 義保

統計数理研究所

坪 泰宏

立命館大学

飛松 省三

九州大学

藤井 翔太

大阪大学大学院

戸次 直明

早稲田大学

松井 翔士郎

大阪大学

三木 裕貴

大阪大学

宮田 孟

筑波大学

三分一 史和

統計数理研究所

森脇 康貴

大阪大学

吉川 直也

大阪大学