平成262014)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

26−共研−5007

分野分類

統計数理研究所内分野分類

b

主要研究分野分類

2

研究課題名

データ解析環境Rの整備と利用

フリガナ

代表者氏名

ナカタニ トモアキ

中谷 朋昭

ローマ字

Nakatani Tomoaki

所属機関

北海道大学

所属部局

大学院農学研究院

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

492千円

研究参加者数

14 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 データ解析環境Rは統計計算とグラフィックスのための言語・環境である。Rは多様な統計手法(線形・非線形モデル、古典的統計検定、時系列解析、判別分析、クラスタリング、その他)とグラフィックスを提供するオープンソースなソフトウエアとして、広汎な拡張が可能である。近年では、医学、薬学、疫学、統計学、経済学、言語学、地理学、心理学など多分野にわたって、世界中で利用されるようになってきており、Rは何らかのデータを扱う人々の世界的な共通言語であるといえる。
 日本においても、フリーでオープンソースであること、頻繁なバージョンアップやアドオンパッケージによって最新の統計手法がいち早く実装されること、オペレーティングシステムに依存しないマルチプラットフォームであること、日本語環境で利用できること、などの理由によって急速に普及が進んでいる。ここ数年、Rに関連した日本語の学術書・技術解説書が毎年10点近くも出版される状況を鑑みれば、日本におけるRの普及状況や関心の高さをうかがい知ることができる。
 以上のように、Rによるデータ解析・統計学の利用の裾野が広がっている現在、多くのユーザが集い、意見交換や情報を共有する物理的な機会を継続的に提供することは重要である。
 本研究の参加メンバーは、いずれも日本を代表するRユーザであり、Rを利用した教育活動、研究活動、業務活動に多くの実績を残している。本研究は、これらの成果や実践活動における工夫を多くのRユーザに広く開示し、それに関する議論をおこなう物理的な場の提供と、遠隔地に居住するRユーザへのインターネットを通じた情報提供を目的とした。

 本年度の研究集会は、11月29日に開催された。これまで海外からゲストスピーカーを招聘して、チュートリアル公演を行っていたが、本年度は予算の関係から海外ゲストの招聘はかなわなかった。そのため、開催日数を1日とし、国内ユーザ13名による実践的な成果の報告と質疑応答を行った。国内ユーザの報告は、統数研Ustreamチャンネルを通じてライブ配信された。
 研究集会への参加者は、37名(名簿記入者のみ。研究所外33名、研究所内4名)、ネット配信ではユニーク視聴者数約150名、中継時間帯では常時20名前後が視聴するなど、遠隔地のユーザも含めて、Rや統計解析に興味を持つ幅広いユーザの関心を集めているといえる。
 2005年以降、Rに関する研究集会を継続的に開催してきたが、研究集会への参加人数は約50名程度で推移している。本年度は、1日だけの開催となったため、例年を下回る参加者数となった。海外ゲストによるチュートリアルを求める声も聞かれたことから、次年度以降は、従来通り2日間に渡る研究集会の開催に向けて体制づくりを進めていきたい。
 研究集会のネット配信は、今年が3回目である。今後は、会場とネット視聴者とのインタラクティブなやり取りなどに関する工夫が求められる時期にあるのかもしれない。
 いずれにしても、本研究集会は、Rに関する先端的な活用事例を周知する場としての役割だけでなく、異分野のRユーザや、統計解析に興味を持ち始めた初心者などが新たに交流を始める物理的な場として重要な役割を果たしており、その目的を十分に達成していると考える。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究集会案内および報告資料
<http://prcs.ism.ac.jp/useRjp/hiki.cgi?2014%C7%AF%C5%D9+%A5%C7%A1%BC%A5%BF%B2%F2%C0%CF%B4%C4%B6%ADR%A4%CE%C0%B0%C8%F7%A4%C8%CD%F8%CD%D1>

R関連の日本語情報源であるRjpWiki<http://www.okada.jp.org/RWiki/>における研究集会開催告知
<http://www.okada.jp.org/RWiki/?R%E6%8E%B2%E7%A4%BA%E6%9D%BF#z7a4fe96>

Ustream配信ページ
<http://www.ustream.tv/channel/rlangism>

研究集会のプログラムは、下記の通りである。
Program:
2014年11月29日
09時55分-10時00分
開会挨拶および諸連絡

10時00分-10時30分 樋口千洋(東京医科歯科大)
Rとゲノムワイド関連解析(GWAS)

10時30分-11時00分 岡田昌史(筑波大学)
RとCDISC

11時00分-11時30分 中澤港(神戸大)
『Rで学ぶ人口分析』とfmsbパッケージ

11時30分-12時00分 谷村晋(兵庫医科大)
Rによる数理疫学

12時00分-13時00分) 昼食

13時00分-13時30分 中間栄治(Com-One)・中野純司(統数研)
RdRand on R

13時30分-14時00分 中野康人(関西学院大)
Reproducible Social Research Environment with DDIR and dlcm

14時00分-14時30分 合崎英男(北海道大)・中谷朋昭(北海道大)・佐藤和夫 (酪農学園大)
Rによる表明選好法

14時30分-15時00分 藤野友和(福岡女子大)
vdmR:ggplot2グラフによるMultiple Linked Viewの実現

15時30分-16時00分 休憩

15時30分-16時00分 鈴木了太(ef-prime)
R AnalyticFlow3: A Real GUI for R

16時00分-16時30分 中野純司(統数研)・中間栄治(Com-One)
Rと統計数理研究所のスーパーコンピュータ

16時30分-17時00分 石田基広(徳島大)
『Rの基礎とプログラミング技法』改訂に見るRの進化

17時00分- 総合討論

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

R Core Team Mamber 1

The R Foundation for Statistical Computing

R Core Team Member 2

The R Foundation for Statistical Computing

石倉 究

北海道大学

石田 基広

徳島大学

岡田 昌史

筑波大学

奥村 晴彦

三重大学

神田 善伸

自治医科大学

谷村 晋

兵庫医科大学

中澤 港

神戸大学

中野 純司

統計数理研究所

中野 康人

関西学院大学

藤野 友和

福岡女子大学

牧山 文彦

サイテクカレッジ那覇