平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−81

専門分類

7

研究課題名

マウスの睡眠・覚醒深度基準(Vigilance±n)の作成

フリガナ

代表者氏名

アズマ コウジ

東 晃史

ローマ字

所属機関

生理学研究所

所属部局

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

マウスの睡眠・覚醒診断を論理演算によって行なうシステムを作成した。これに基づく解析から,睡眠・覚醒・意識の相互関係を示す概念的モデルを提唱した。これはVigilanceレベル(睡眠・覚醒深度の変動)が,大脳皮質の神経回路網のアドレスを指定する役割を担っていると考える仮説である。この場合,睡眠・覚醒の「レベル変動」をプローブにして,異なる神経回路網の「活性化パターン」が推定できることを意味している。多彩な精神作用薬の投与データを用いて,これらの関係を検証する。


当該研究は,睡眠と覚醒のそれぞれの次元(単位)は何か,を究明することにあった。現状では,実験的に記録される脳波が,このような時にはこのように(例えば睡眠深度1〜5)定義しよう,という取り決めに基づいて行われている。いわば,脳の神経解剖学,神経回路の機能学と,睡眠と覚醒の2つの状態の誘発機構の間には,理論的な関連性が全く存在しない。
この関連性は,「時間」を独立変数と見なす限り,理論的に見出せないことが解った。生命を時空間で考えれば,睡眠化ポテンシャルと覚醒ポテンシャルの2つの,互いに逆行するベクトルポテンシャルを導き出せる。睡眠と覚醒の種々の状態(ビジランスのレベル)は,これらの合成ポテンシャルによって決まる,と考えられる。
これらの理論的な基礎になったのは,R.P.ファインマンの総経路積分法である。光源から発射する光子が,鏡で反射して検出器に到達する確率の振幅は,架空の時計によって,光子の所要時間を計り,その時に示す時計の針の合成ベクトルで記述できる。ファインマンの,この仮想実験の説明は,空間だけを対象としている。この時の曲る光子は,ミンコフスキーの時空間では曲らない。時間軸を45度で交差した光子が,時間軸を出発して,空間軸に達する「経過時間」か,仮想実験の曲る光子の所要時間の長さに対応する。一方,やはり,ファインマンの仮想実験結果から,光子は過去と未来から現在に向かって進むことを,幾何学的に示すことができる。
ここで,ファインマンの架空の時計は,アインシュタインの固有時間を表わす時計と「同じ時計」であることに注目すれば,外界情報を認識する確率の振幅の大きさを,時計の大きさの直径で表わすことができる。このベクトルポテンシャルの大きさが,「覚醒化ポテンシャル」の大きさに対応する。さらに,ファインマンの仮想実験を,時空間で表わせば,正の時計と反時計が出現する。この状況を,ファインマンの時計とアインシュタインの時計で表わせば,「主観である生命」をベクトルポテンシャルで表わすことができ,物理学の核心的な問題である観測の理論に対する解答が得られる。この時,ファインマン理論は,解析力学のサイクロイドの光学版であり,同様の性質は,マックスウェルの方程式にもあることに注目する必要がある。そして,同様の性質は『脳にもある』ことを,さらに注目する必要がある。それは,我々の『感じる』ところの「今」という時間と,「経過する時間」である。これらの2つの時間は『等時空間』の物理的な性質である。
同様な観点をDNA情報を認識する確率の振幅として定義できる。この時,DNA情報は逆行する時間を正の時間とみなす。これらの関係をシュレーディンガー方程式とファインマン理論を同時に考慮した簡単な幾何学モデルで表わした。この時,覚醒状態は『正の人間』に,睡眠状態は『反人間』に対応する。
これらの展開は,現在の生物・医学・物理学者の容認するものではない。ところが,同様の発想から,「統一関数」により,元素の周期律,原子量を全て計算している論文がみつかった。これらに共通している発想は,プランク定数hの階層を仮定することにある。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

生体の科学は,ホジキン・カッツ,ワトソン・クリックの原則の上に積み上げられている。睡眠と覚醒の解析は,シュレーディンガー・アインシュタイン・ファインマンの原則からスタートしない限り,理論的に展開不能である。かくして,現状では,Medical Hypotheses(カナダ)だけが論文をアクセプトしている。レフェリーの助言は,短編をシリーズで投稿し,フルペーパーが別にあることを,ノートという注意書きで記してよい,というものである。日本語版のフルペーパーに相当する『脳の主人』−脳の中のブラックホール−(B5版300ページ)を書き上げており,「自費出版」することになろう。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

マウスは1日に数百回の短かい睡眠を繰り返す。睡眠の持続時間(t秒)を変数にして,t秒以下の睡眠を24時間にわたって覚醒状態に逆転診断するデータ処理(MMP)を繰り返すと,ある範囲の変数(t)で薬効パターンが顕著になる。しかも,薬物の種類・量・投与時刻によって,それぞれ異なる経時的薬効パターンが得られる。覚醒の持続時間(i秒)についても同様である。この実験事実を説明するために,睡眠と覚醒の往復は,逆向きの2つのポテンシャルの相殺された第3のポテンシャルによって生じる現象である,というモデルを考えた。この場合,3つのポテンシャルの組み合わせによって,大脳皮質の神経回路網が活性化されると仮定する。活性化の意味は,神経回路に格納されている情報が,認識される情報(脳裏に浮かぶ情報)に変換されることである。いくつかの精神作用薬を投与したオリジナルデータがMTに保存されている。これらを数値解析し,他のアプローチによって,同様な仮説が導かれるか否かを検討


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭 幸人

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所