平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−43

専門分類

5

研究課題名

多次元フィルタの設計に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ミヤサト ヨシヒコ

宮里 義彦

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

通信や制御など信号処理を必要とする分野において,最近,多量の多次元データを高速に処理する必要が生じてきている。例として2次元平面上に広がった画像などのデータ処理が挙げられる。このような多次元信号に適したモデルに基づいた信号処理の理論,アルゴリズムの開発,更に実際の画像などのデータを用いた計算機による実験などを行なう。


本研究では主に2次元の信号処理について2次元適応同定器を中心に研究を行なった。画像処理など2次元の信号処理は計測の問題として古くから存在する。本研究では2次元の伝達特性を推定する方法(アルゴリズム)について考察した。一般に2次元の信号処理では信号は上下左右の全方向に影響を及ぼし合うので従来の時間をパラメータとした因果的なシステムとしての取り扱いができない。従って信号の伝達過程を従来の状態方程式で表すことができない。しかし2次元一般化状態(ディスクリプタ形式)方程式で表現することができる。この方程式は無限大の極を持つことが特徴的である。本研究では未知の2次元伝達関数を上記の2次元一般状態方程式で表わしたとき有限及び無限大極で可観測であるなら未知パラメータと一般状態を逐次的に入出力データから推定する適応観測器が構成できることを示した。これは状態方程式に対する適応観測器の自然な拡張であることも示される。得られたアルゴリズムの有効性を2次元画像を用いた数値シミュレーションで確認した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

非因果的な2−Dシステムの適応同定器,第32回自動制御連合講演会,1989年


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

画像などの多次元信号の生成あるいは伝達特性を表わす多次元システムを記述するモデルがいくつか提案されてきたが,膨大かつ非因果性を有する画像などの信号を処理する目的には必ずしも十分ではなかった。本研究ではこのような多次元システムを表現するための新たなモデル(多次元ディスクリプタシステム)に基づいて,例えば多次元のARモデルの推定に関する理論,並びにアルゴリズムの研究を行なう。このような多次元システムに対するフィルタの設計ではモデルの大規模性,非因果性のため,複雑なフィードバック系としての解析,設計が必要になり,新たなシステム論的アプローチが求められる。実際の研究では理論,アルゴリズムの開発と共に画像データを用いて計算機を利用した実験も行なっていく。このような研究の遂行のためには高度の計算環境,更に2次元システム理論の研究者との研究連絡が必要であり,そのため共同研究として実施を希望する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

植竹 洋一

東京商船大学

大久保 重範

山形大学

小原 敦美

大阪大学

新 誠一

東京大学