平成282016)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

28−共研−4

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

アレイ状に配置された多変量時系列のモデリング

フリガナ

代表者氏名

キタガワ ゲンシロウ

北川 源四郎

ローマ字

Kitagawa Genshiro

所属機関

情報・システム研究機構

所属部局

情報・システム研究機構

職  名

情報・システム研究機構 機構長

 

 

研究目的と成果の概要

【研究目的】
アレイ状に配置された多数の観測点から得られた時系列に対して,時空間的なモデリングを行うことによって,個々の時系列モデリングよりも詳細なあるいは正確な情報を抽出する方法を開発する.類似した研究としては,過去に海底地震計アレイに基づく地下構造の推定を行ったことがあるが,これは直線状に配置されたセンターから得られた超多変量時系列であった.本研究では2次元平面上に配置された多数のセンサーから得られたデータに対して,拡張された時空間モデリングによる情報抽出の高精度化を目標とした.

【成果の概要】
前年に引き続き、東大地震研,米国カーネギー研究所等の研究者との共同研究により,関東地方で観測中の地震波のアレイ観測データから地震の到着時刻等の地震情報を精度よく効率的に取りだす方法の研究を行った.多変量局所定常ARモデリングにおいて、モデル変化の時点を情報量規準AICによって自動的に推定する方法を用いて,到着時刻の事後確率を計算し,さらに周辺地点の情報を事前確率として利用する時空間ベイズモデルを開発する事によって,微少な地震(マグニチュード1以上程度)の到着時刻の推定精度の改善を行なった結果、従来より精度のよい推定が比較的少ない付加的計算量で実現できることがわかった.
 また本年度は、多変量局所定常ARモデルの基盤となる、多変量ARモデルについて、より超多変数の場合にも適用できるように、推定法、次数選択法、モデル評価規準の研究を行い、テストデータに関して比較検討を行った。さらに、到着時刻の事後確率を利用して、震源推定の精度を向上させる方法についても検討した。
 これらの計算にあたっては,共用クラウド計算システムを利用した.