平成282016)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

28−共研−1028

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

7

研究課題名

古代社会の人口動態の推定

フリガナ

代表者氏名

ツチヤ タカシ

土谷 隆

ローマ字

Tsuchiya Takashi

所属機関

政策研究大学院大学

所属部局

政策研究科

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 古代社会の人口の推定は、考古学や歴史学における重要な研究テーマの1つである。ヌジ人名史料から復元された家系図および個人名が記載されるヌジ文書の情報を用いて,古代メソポタミアの時代のヌジ社会の人口動態推定を行い、紀元前15世紀における世界の中の1小都市ヌジの人口推定としての妥当性について考察している。

 当初は、個人名を索引の形式でアルファベット順に整理された書物「ヌジ人名史料」のうちの使用可能な全データを用い、家系図およびその他の情報との相互関係を凸2次計画問題として定式化することにより、ヌジ社会の人口動態推定を行った。その後、全人口の97パーセントを占めるテヒプティラに関連する家系のネットワークに特化した凸2次計画問題を解き、前述の結果と比較・検討することを試みた。後者の場合には、個々の生誕年・死亡年は一意には決まらないが、寿命の長さに関しては、初期値をある幅でランダムに仮定しても、特定の人々に対してはユニークに定まることを確認した。平均寿命などのモデルのパラメータを設定した時の人口動態の推定と考古学的な年代とをうまく整合させることにより、古代の人間の寿命なども推定できる可能性があると考えている。

研究成果の出版を通して、ヌジについての著名な研究者である、Maynard P.Maidman の知己を得て、情報交換を行った。Maidman による書籍 Nuzi Texts and Their Uses as Historical Evidenceには、粘土板の内容と解釈、その背景について、分析がされている。そこで、Maidman の本に記載されている考察と、我々の得た文献の成立年代の推定値についての比較を行い、モデルのパラメータの調整を行っている。

 これまでの本研究課題の研究成果を、Nuzi Personal Names の解析の元データをデータベースで公開することを目指して準備を引き続き進めている。

 本年度も、統計数理研究所での会合およびメールによって議論をおこなった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

過去の研究成果を纏めたものとして、
Sumie Ueda, Kumi Makino, Yoshiaki Itoh, Takashi Tsuchiya
Logistic growth for the Nuzi cuneiform tablets: Analyzing family networks in ancient MesopotamiaOriginal Research Article
Physica A, Vol.421(2015)
Pages 223-232
を挙げておく。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会合の日時と場所
2016.04.19 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2016.05.17 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2016.06.14 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2016.06.30 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2016.07.21 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2016.11.15 12:00〜15:00 統計数理研究所共同研究室
2016.11.24 12:00〜15:00 統計数理研究所共同研究室
2016.11.30 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2016.12.21 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2017.01.16 12:00〜14:00 統計数理研究所共同研究室
2017.01.30 12:00〜15:00 統計数理研究所共同研究室
2017.02.27 12:00〜15:00 統計数理研究所共同研究室
2017.03.15 12:00〜16:00 統計数理研究所共同研究室

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊藤 栄明

統計数理研究所

上田 澄江

統計数理研究所

牧野 久実

鎌倉女子大学