昭和601985)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

60−共研−16

専門分類

2

研究課題名

大次元パラメータ推定の高速処理法の開発

フリガナ

代表者氏名

イシグロ マキオ

石黒 真木夫

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

種々の資料解析において有用な統計モデルが提唱されており,また,その手法を取り入れた計算機プログラムも多数作成されている。しかしながら実際の応用問題にあたっては,大量の資料を用いて数千元以上の大次元のパラメータを推定しなければならない問題が多数存在する。このためせっかく開発された有用な手法の普及において,計算時間(費用)の問題が障害になることもある。本研究は大量の資料を用いた大次元パラメータ推定問題において,高速な処理手法を開発し,その普及をはかることを目的とする。


パラメータの推定問題において,線型最小2乗問題に帰着される問題については,基本的な解法(たとえば,観測方程式をQR分解し,未知数を決定)が確立しており,抜本的に処理速度を改善するのは困難な面がある。しかしながら,実際の個々の問題に対して,統計モデルを適用する場合は,処理の過程でなんらかの構造を持った疎行列が生じることが多く,その構造を生かした高速処理のアルゴリズムを開発することが可能である。また,処理の高速化は,統計モデルの普及にも不可欠である。
本研究では,Bayes統計モデルの具体的な応用例として,潮汐資料(時系列資料)の解析において,パラメータ(潮汐定数・ドリフト)推定の高速化について研究を行なった。この問題では,時系列資料の階差を取ることから,係数が−1,2,−1と規則的に現われる疎行列が生じるのであるが,この構造を利用し,計算機上の記憶容量の縮少,処理速度の改善を行なった。また,最近ベクトル計算の機能(IAP)が備わった計算機が少なくなく,この機能を考慮して,アルゴリズムの改良を行なった。
高速処理法の開発にあたっては,アルゴリズムの改良の他に,個々の問題の特性に応じた最適化が必要になることが改めて明らかになった。また,計算機プログラムの作成にあたっては,モジュール化を図り,特定の計算機の機能に対して,実行時間の集中する2〜3のモジュールのみ最適化することにより,移植性と高速性の釣り合いを図った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

日本測地学会第65回講演会(昭和61年5月7日〜5月9日)
「潮汐解析プログラム“BAYTAP”の改良」


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

高速処理を行うには,まず大量資料の解析に適した統計モデルを作成することから始める。また,大次元パラメータを推定する場合しばしば不安定現象を生じることがあるので,安定な解を得るための手法もあわせて研究する。
次に実際の個々の問題に統計モデルを適用する場合,処理の過程で何らかの構造をもった疎行列が生じることが非常に多い。このため行列の構造を生かした高速処理のアルゴリズムを開発する。統計手法の普及をはかるには単に数学的な手法を開発するだけでは不充分であり実用に耐え得る汎用プログラムの作成が不可欠である。多くの計算機では,仮想記憶方法が採用されており,またベクトル計算の機能が備っているものも少くない。このため,これらの機能を考慮したアルゴリズム及びプログラムを開発し,大次元パラメータ推定の高速な処理方法の普及をはかる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大江 昌嗣

国立天文台

佐藤 忠弘

国立天文台

田村 良明

国立天文台