平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2037

専門分類

7

研究課題名

高齢者におけるウエスト身長比の冠動脈疾患予防への有用性

フリガナ

代表者氏名

ナカヤマ テルユキ

中山 晃志

ローマ字

Nakayama Teruyuki

所属機関

大分県立看護科学大学

所属部局

人間科学講座 健康情報科学研究室

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

肥満は生活習慣病とされる糖尿病,高血圧,高脂血症,心臓病,脳血管疾患の危険因子の一つとさ
れ,肥満予防が推進されている現在においても,高齢者における肥満者の割合が年々増加しつつあ
る。肥満指標の1つにウエスト身長比(=ウエスト周囲径/身長,以下「WHt比」)があり,0.5
を超えると冠動脈疾患の危険度が高いとされている。しかし,加齢に伴い腹筋力の低下や腹部脂肪
のゆるみによるウエスト周囲径の増加は避けられず,高齢者のWHt比は若年・中年者に比べて大
きくなる傾向にあると考えられる。そこで,高齢者における肥満指標としてのWHt比の適性と判
定基準値について検討することを目的とした。
A町の基本健康診査の実施時に協力の得られた男性228人(うち65歳以上181人),女性421人
(同290人)を対象とし,健診と同時にウエスト周囲径の測定を行った。本研究で使用する測定
項目は,身長,血圧(収縮期,拡張期),血液検査(総コレステロール,HDLコレステロール,中
性脂肪,血糖,HbAlc)およびウエスト周囲径である。
若中年層と高齢層に分けBMIとWHt比の関連を回帰分析により調べたところ,男女ともに同じ
BMIの値でも高齢者のWHt比が若中年者よりも大きい傾向にあった。また,回帰分析およびWHt
比と健診項目の検査値との関連を調べたロジスティックモデルの両面で,WHt比0.55が肥満を判
定するための1つの値として得られた。男女の血圧および女性の中性脂肪では,WHt比0.55を肥
満の判定基準値とした場合に有意なオッズ比が認められ,WHt比0.5を基準値とした場合に男性
の総コレステロールと中性脂肪で有意なオッズ比が認められた。また,男性のHDLコレステロー
ルと女性の総コレステロールでWHt比によるオッズ比がBMIによるオッズ比よりも高かった。
女性のHbAlcではBMIで有意なオッズ比が認められた。
高齢者においてWHt比は血圧や血液検査の要指導・要医療の判定に対してBMIよりも敏感に反
応しており,冠動脈疾患の危険因子である高血圧症や高脂血症といった疾患へのリスク予測指標と
して優れていることが示唆された。しかし,性別および検査項目によって適切な肥満指標および判
定基準値は異なるため,WHt比とBMIの併用による保健指導や健康の自己管理が望まれる。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

中山晃志,藤澤洋徳,緒方可奈子:高齢者におけるウエスト身長比の適性と判定基準。厚生の指標,
52(2),35-40,2005。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

藤澤 洋徳

統計数理研究所