平成282016)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

28−共研−1

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

細胞幾何学モデル

フリガナ

代表者氏名

ホンダ ヒサオ

本多 久夫

ローマ字

Honda Hisao

所属機関

神戸大学大学院

所属部局

医学研究科

職  名

客員教授

 

 

研究目的と成果の概要

【目的】多細胞生物の形態形成はこれを構成している細胞の振舞いによってなされる。細胞の振舞いを数理的に記述する方法があれば、数理により形態形成を理解することができる。
 そこで、組織を構成する細胞を多角形・多面体と考えて、すべての多角形・多面体の頂点の動きを記述する運動方程式をつくっている。これにより細胞の振る舞いが数理的に表せる。この運動方程式を数値計算で解くには大きな計算が必要だが、これができるとこれまでにないアプローチで形態形成を研究することができる。
 細胞でできたチューブがらせん状のねじれを形成することがある。哺乳類や鳥類の心臓形成初期にみられるこの現象を説明することをこころみた。
【結果】心臓の場合ねじれは左ねじ方向である。これを説明するのに2つの要因を考えた。一つはチューブ側面が不均一に成長することで、チューブ縦割りの半分は他よりも大きく成長すると考えた。もう一つの要因は、チューブを構成している細胞は大まかにはチューブ軸方向に成長するのだが、その成長の方向がやや左に(チューブ表面に垂線を考えると、この垂線を軸として反時計回りに)片寄っているとする要因である。この2要因により上下端を固定したチューブは左巻きらせんにねじれた。

【研究成果】
【論文発表】
Sayaka Katsunuma, Hisao Honda, Tomoyasu Shinoda, Yukitaka Ishimoto,
Takaki Miyata, Hiroshi Kiyonari, Takaya Abe, Ken-ichi Nibu, Yoshimi Takai,
and Hideru Togashi,
Synergistic action of nectins and cadherins generates the mosaic cellular pattern of the olfactory epithelium.
J.Cell Biology, 212(5): 561-75. (2016) 
[昨年度報告でin pressであったもの]

【国際会議、学会などでの口頭発表】
Hisao Honda, Takaya Abe, Toshihiko Fujimori
Mechanism of cardiac looping of the embryonic heart
The 26th annual meeting of the Japanese Society for Mathematical biology
(九州大学 伊都キャンパス・福岡市、9月7日 2016)

本多久夫「自立的にできる多細胞体の形」第15回日本心臓血管発生研究会 特別講演
(国立循環器病研究センター・大阪府吹田市、10月15日 2016)

Hisao Honda
Epithelium - An intelligent tissue
in the 27th CDB Meeting
Body surface tactics (RIKEN Center for Developmental Biology,
神戸市、11月14日 2016)

本多久夫「形態形成を遺伝子で説明するには数理モデルが必須である」
特別講演 RIMS 研究集会第13 回「生物数学の理論とその応用」
(京都大学数理解析研究所、京都市、2016 年11 月16 日 2016)