平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−71

専門分類

7

研究課題名

長寿因子抽出の世代間調査とその解析

フリガナ

代表者氏名

サカタ トシイエ

坂田 利家

ローマ字

所属機関

大分医科大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

13 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本邦は世界第一位の長寿国になれたこともあって、高齢化が急速に進行している。健康な状態で長寿を全うすることができるよう、医学、社会学、推計学などの側面からその決定及び修飾因子を抽出解明する。新に開発した推計学的手法を用い、世代間にわたる遺伝的要因を含めた解析も行う。


平成7年度は、前年度作成済みの緒方町長寿スタディ−(OLS)計画書に従い、一部聞き取り調査を開始した。同時に、50歳以上の住民のデータを、OLSの計画書に従って整理する事に着手した。
一方、我々が別途行った肥満糖尿病の実態調査によれば、血清コレステロールと中性脂肪はBody Mass Index(BMI)と正比例し、この相関関係は男女に共通していた。肥満糖尿病では、血清コレステロール濃度が肥満度の比較的軽いうちから上昇していた。緒方町での平均年齢50歳の男100人、女136人を解析してみると、BMIが26kg・m-2以上の男性が23%、女性が19%であり、肥満症患者が少なくなかった。BMIの最大値は男子で33kg・m-2、女子で32kg・m-2であった。血清脂質は心臓あるいは脳の動脈硬化性変とも関連することが知られている。さらに、我々が同町で行った高血圧患者の耐糖能検査では正常パターンを示す者が少なく、耐糖能障害を有する患者が多かった。
今後の調査の方向として、この体重、脂質、糖代謝、血圧の4つの因子を長寿との相互関連に視点を置き、聞き取り調査と併せて解析していくことを計画している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

T.Sakata: A very-low-calorie conventional Japanese diet: Its implications for prevention of obesity. Obesity Res. 3(Suppl.2): 233-239,1995.
M.Hara,et al:Plasma PAI-1,TPA and serum Lp(a) after reperfusion therapy in AMI.Cardiology 86: 407-410, 1995.
坂田利家;大村裕:脳と食欲、共立出版、1996.5.1出版予定
坂田利家:肥満症今日の治療指針(分担)、医学書院、 1995.2.15
T.Sakata: Homeostatic energy balance regulated by the hypothalamus. Symposium in the international Behavioral Neuroscience. 1995, 5. 17. Santiago in Spain.
T.Sakata: Health an dietary therapy.Lecture in the International Brain Science.1995. 6.2,Sendai.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

高齢化が進行し、住民の移動が乏しい人口約8000人の大分県緒方町を対象地区とする。年齢50歳以上の町民約4000人を対象に、以下の調査を行う。現在の健康状態、職業、運動状況、嗜好、食生活、趣味、生きがい、家族構成、既往歴などについてアンケート調査、それに血液検査を含めた身体検査を実施する。なかでも動脈硬化の危険因子であり、遺伝的に規定されているLp(a)と、動脈硬化と加齢に関連するDHEA(dehydroepiandrosterone)パラメーターに注目する。従来、国内外を問わず世代間にまたがる疫学調査の解析は皆無である。今回は同一家族内での世代間調査を行い、これを共同研究者の小西が開発した推計学的解析法を用いて解析する。環境と遺伝的な長寿因子を抽出する、これを最終目標にする。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大浜 厳 

九州大学大学院

桶田 俊光

大分医科大学

小野 英伸

緒方町国保総合病院

織部 安裕

津久見中央病院

小西 貞則

九州大学

駒澤 勉

統計数理研究所

犀川 哲典

大分医科大学

佐藤 靖史

東北大学

中尾 裕之

九州大学大学院

野田 健治

緒方町国保総合病院

笛田 薫

九州大学

吉松 博信

大分医科大学