平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−104

専門分類

7

研究課題名

食物の嗜好性に関する研究

フリガナ

代表者氏名

シマダ ジュンコ

島田 淳子

ローマ字

所属機関

お茶の水女子大学

所属部局

生活科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

人間の摂食行動を左右するものの一つに食物の嗜好性すなわち“おいしさ”がある。おいしさには食物に由来する面と人間に由来する面のさまざまな要因が複雑に関わっている。そこで本研究は、食物の性状の物理的・化学的分析、官能検査、食意識の調査等による多変量のデータを統計学的手法を用いて解析し、おいしさについて総合的、科学的に考察を行う。


目的:油脂を含む食物の嗜好性に関与する“あぶらっこい”という感覚現象の解明の手がかりとなるよう、アンケート調査により、その表現の特徴づけおよび尺度化を試みた。
方法:調査対象は、関東地区に居住する20才以上の日本人男女とし、協力的な姿勢と基本的な学力を有することが望まれたため、標本抽出は平成5年度お茶の水女子大学調理学研究室名簿より全数を対象とし、その協力により家族・知人1500名に依頼した。日常的な食物90品目の“あぶらっこさ”について4段階(非常に・かなり・少し・ない)で評価させ、統計数理研究所の統計科学計算機システムの数量化第III類を用いて集計・解析を行った。
結果:標本数1500に対して回答数は 1256(83.7%)で、うち有効回答数は 1091(72.7%)であった。アイテム・カテゴリー(食物・あぶらっこさの段階)の順序構造を調べるため、第一・第二相関軸を直交座標軸に数量をプロットしたところ、アイテム・カテゴリーは2次曲線を描くことが示された。さらに、カテゴリーは順序順に配列され、かつ、各カテゴリーにおいてアイテムはほぼ同じパターンに配列されていた。
このパターンはあぶらっこさの強弱であると推察された。以上より、あぶらっこさの段階に順序があるとパネルが共通に理解している、すなわち“あぶらっこい”という共通概念が存在する、ということが初めて実証され、さらに、第一数量によりあぶらっこさの尺度化が可能であると結論した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

早川文代 畑江敬子 島田淳子 アンケート調査による“あぶらっこさ”の特徴づけと尺度化の分析 日本家政学会誌 投稿準備中

早川文代 畑江敬子 島田淳子 口中感覚の一表現“あぶらっこさ”に関する科学的考察(第3報) −アンケート調査による表現の特徴づけと要因の分析− 日本調理科学会平成6年度大会 平成6年9月14日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

現在、油脂を含む食物の嗜好性が高く、一方でその過剰摂取が問題となっていることから、本研究ではまず油脂を対象とする。油脂を含む食物の嗜好性を表現する用語を収集し、専門パネルのアンケートによりその特徴を調べ、整理する。これらの用語のなかで代表的である“あぶらっこい”に関して、食経験に基づくアンケート調査を行い、その順序構造を探る。
さらに、実際にあぶらっこさの強度と食物の性状との関係を調べるために、いくつかのモデル系を設定し、物理的・科学的測定および官能検査を行い、得られたデータを解析することにより“あぶらっこい”という感覚現象の解明を行う。これらの研究を実施するにあたって、統計科学と調理科学分野との融合は不可欠であると考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

駒澤 勉

統計数理研究所

畑江 敬子

お茶の水女子大学

早川 文代

お茶の水女子大学大学院