平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−30

専門分類

4

研究課題名

社会調査データに基づく帰属群判別方法の試験的研究−要因構造を基盤として−

フリガナ

代表者氏名

タカクラ セツコ

高倉 節子

ローマ字

所属機関

東京国際大学

所属部局

人間社会学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

定性的な説明変数を用いて,データの帰属群の判別予測を行なう場合,通常,数量化2類が用いられているが,要因間の内部関連をも考慮にいれて判別分析を行なう方法,即ち,主成分分析型手法(数量化3類を含む)の,3−wayへの展開からの方法を探究する。


要因間の内部構造を、数量化3類を適用することによって把握し、このパタンを表現する固有ベクトル(固有値の高い根に見合う数個のみ)の一次結合により、2群の弁別を試みた。これによると、説明要因の内部構造を見定め、数量化3類結果のパタンから、要因の群化の意味を踏まえ、その上で、どの要因群が外的基準の分類に効果があるものであるかを把握することができる。これを”老人の精神的健康調査”データに適用し、新たな知見を得ることができた。即ち、痴呆の前駆症状の疑いの有無の2群の弁別を身体的状況、及び、生活・意識など、個人の特性要因を用いて行う場合、説明要因について数量化3類を適用し、第1根から第5根に見合う値を一次結合し、2群間の相関比(自由度調整済み相関係数)が最大になるベクトルを選定する。(これは通常行われているように、第1根、第2根に見合う値が選ばれるとは限らない。)選定されたベクトルによる説明要因の布置を見ると、例えば、男の場合、”生活程度に満足か否か”や”脳血管既往症の有無”等が2群の弁別に有効であり、女の場合は、”身体的弱化の様相”等が有効であることが解った。
その他、データをサブグループ化し、より効率の良い帰属群判別を行うことも試みた。これも、要因構造と外的基準との絡み合いを把握し、その上で、どのようなフェースシート項目についてサブグループ化することが効率のよいものとなるかを見きわめる事が必要であり、この鍵項目を選ぶために、正準相関分析法、及び、多元分割表による対数線形モデルの適用を行い、鍵項目選択の手がかりを得る事ができた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高倉節子,"要因構造分析を踏まえた分類の方法",日本分類学会,1991年11月16日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

主成分型分析手法(数量化3類を含む)の3−wayへの拡張は,既に研究されているが,これを外的基準のある場合に適用する方法の開拓を狙っていく。この場合,多くの説明変数から有効な変数をとり出す変数選択をも踏まえて行なう。この為に,多元分割表による対数線形モデル(AICの基準に基づく最適モデル)の適用による変数設定を行っていくことも考えられる。そして,既に得られている,“住民意識調査”,“老人の精神的健康調査”等のデータに適用し,このアプローチによる判別効果を検討する。このような方法の探究には,貴研究所・教官の協力が必要であり,この研究の成果は,今後の社会調査結果の分析に有用であると考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所

鈴木 達三

帝京平成大学