平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−86

専門分類

7

研究課題名

遺伝子地図情報に関する統計数理学的研究

フリガナ

代表者氏名

ワダ ヤスヒコ

和田 康彦

ローマ字

所属機関

農林水産省畜産試験場

所属部局

育種部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

ヒト、マウスをはじめ家畜を含む多くの動物において遺伝子地図の作成が開始されている。その結果、それぞれの動物種間で、染色体上での遺伝子の配置が部分的に保存されていることがわかってきた。そこで、それらの情報をもとに染色体レベルでの進化のあり方を探り、分子レベルでの家畜の育種改良に役立てるために、遺伝子地図情報を統計学的な手法を用いて解析する。


遺伝子地図情報の種間のホモロジー関係を調べるために、マウスの連鎖地図上の遺伝子がヒトや家畜でどの染色体に存在しているかを図示するツールを開発し、インターネット上で公開している(http://ws4.niai.affrc.go.jp/dbsearch2/java/mhomo/)。
また、マウスの遺伝子シンボルからヒトや家畜の同一遺伝子がどこにマッピングされているかを検索するシステムを開発するとともに、ヒトや家畜でまだマッピングされていない時には、マウスの連鎖地図上の近傍の遺伝子の情報から、その位置を推定するシステムを開発し、試験的に公開している(http://ws4.niai.affrc.go.jp/dbsearch2/homology/)。
畜産試験場でブタの連鎖地図の作成のためのマーカーに利用している散在性反復配列PRE-1について、ブタ近縁のイボイノシシとペッカリーに存在することを確認し、相同遺伝子座についてPRE-1間の遺伝的距離を調べた結果、ブタとイボイノシシの間の塩基置換率は0.021から0.067に分布し、ブタとペッカリーの間の塩基置換率は0.155と0.230であった。
ブタゲノム中に存在するPRE-1配列をGenbankデータベースから抽出し、その分子系統樹を描いたところ、6種のサブファミリーが認められた。また、ゲノム上での位置や方向と分子系統樹上の位置の間に明確な関連性は認められなかった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Y.Wada and H.Yasue, Java Version of Animal Genome Database, Genome Informatics 1996, p.172-173, 1996 December 2.

Y.Wada and H.Yasue, Information System for Gene Mapping in Livestock, The 8th AAAP Animal Science Congress, 1996 October 17.
和田康彦・安江 博、ブタ散在性反復配列PRE-1の分子進化、第19回日本分子生物学会年会、平成8年8月29日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

動物種ごとに作成されつつある染色体物理地図および連鎖地図に関する情報をもとにして、相同遺子をアンカーとして、種間ホモロジーマップを作成し、その情報を統計学的に解析する。また、その結果とDNA塩基配列やアミノ酸配列を用いて得た結果と比較検討する。統計数理研究所では、最尤法を用いた分子系統樹の作成方法についての研究が盛んに実施されており、この分野では世界をリードする研究所のひとつである。また、本共同研究への参加者の1人である岸野は統計数理研究所に在籍当時、この研究を積極的に推進しており、統計数理研究所との共同研究として実施することにより、より大きな成果が期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所

岸野 洋久

東京大学