平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−89

専門分類

7

研究課題名

適度な運動と健康教育を中心とした健康増進運動とその効果の把握に関する研究

フリガナ

代表者氏名

マチダ カズヒコ

町田 和彦

ローマ字

所属機関

早稲田大学

所属部局

人間科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

超高齢化社会を目前に控え抜本的な保健活動の改革と何歳になっても健康で自立した生きがいのある生活を送れるように老人自身の意識改革を行なうために、基礎体力の向上、食生活の改善、ストレスの回避と余暇の過ごし方および適度な運動の指導などの総合的な健康指導を中心とした住民運動を推進するために調査を企画した。


成人病は生活習慣病ともいわれる程日常生活と密接に結びついていることが明確となり、虚弱老人、寝たきり老人さらに痴呆性老人の多くは適切なライフスタイルによりその多くは予防が可能と思われてきている。
我々はそのような予防医学的見地から、5年前より狭山市の老人クラブ会員と保健衛生センターの協力によりライフスタイルの改善による健康の維持増進と生きがいのある生活をめざした健康診断と個人指導による運動を行なってきた。
今年度は5年計画の5年目で以下のような方法により調査を行ない新しい知見をえた。
本年度は男性59名(平均年齢76。4±5。6)、女性48名(74。4±5。4) の参加により以下の項目について調査が行なわれた。
調査内容:身長、体重、体温、血圧、運動能力(握力、肺活量、開眼片足立ち、)、ライフスタイル(栄養、嗜好品、運動習慣、睡眠、住居環境、ストレス及びストレス耐性度、日常生活度等の面接法による質問紙調査、尿検査、採血による15項目の臨床生化学検査・貧血検査及び生態防御機能検査(好中球による貪食・活性酸素産生能、ナチュラルキラー細胞活性)を実施した。
さらに昨年に引き続き家族形態とストレスを含めたライフスタイルとの関係も調べた他、今年度は生きがい度の測定であるPGCモラールスケールを実施した。
調査結果:モラール度とストレス度は有意な正の相関を、ストレス耐性度とは正の相関を示した。
一方、モラール度を高い群、中間の群、低い群の3つに分けて貪食能と殺菌能との間の相関を調べたところ、低い群にはまったく相関が見られなかったのに対し、中間と高い群では有意な正の相関(中間群:r=0.75,p<0.002,高い群:0.41,p<0.03)が認められた。
また、ストレス度の高い人の間では貪食能と殺菌能との間に何ら関係が認められなかった(r=0.155)のに対し、低い人の間では有意な正の相関(r=0,631,P<0.001)が認められた。また各項目の5年間の経年変化も調べた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高齢者のライフスタイルと生体防御機能に関する疫学的研究 (第1報)狭山市の老人クラブ会員のライフスタイルの特性)、(第2報)好中球機能の活性酸素産生能による評価西城千夏、町田和彦、栗山孝雄他、日本公衆衛生雑誌投稿中

高齢者の運動習慣が体力と健康に及ぼす影響、深谷悟、栗山孝雄、町田和彦、他、日本衛生学会53(1)、P162、1998年3月、高齢者のライフスタイルと非特異免疫、石崎香理、栗山孝雄、町田和彦、高木廣文他、日本衛生学会 53(1)、P163、1998年3月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本調査は今年度で当初の予定である5カ年計画を終了する。過去4年間各種面接調査(環境調査、運動・栄養調査、自覚調査、問診、ストレス・ストレス耐性度調査、日常生活能力調査など)、20数項目からなる臨床生化学検査と生体防御検査および各種機能検査を実施してきた。今年度もほぼ同様な調査を実施するとともに過去5年間の個人別経年変化を追い、個人面接がその後の個人の健康や生きがいにどのような効果を与えているかを把握する。さらに、適切な栄養、身体活動、各種機能検査成績やストレス・ストレス耐性度の非特異免疫能に及ぼす影響を調べることにより非特異免疫能による至適ライフスタイルの判定を試みる。このような膨大なデーターの解析は信頼のおける統計の専門家との共同研究が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐久間 淳

埼玉県立衛生短期大学

高木 廣文

統計数理研究所