昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−58

専門分類

6

研究課題名

岩石破壊実験とその時系列データの解析

フリガナ

代表者氏名

オガタ ヨシヒコ

尾形 良彦

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

岩石破壊実験は室内に於ける地震発生実験ともいうべき意義を有している。アコースティックエミッション(A.E.)は岩石に圧力をかけておきるクラックの振動をとらえ,その規模と発生時刻等を記述,解析をするものである。今回の共同研究の特色はこれらを点過程データとして解析することである。良く計画された素状の明確な実験データに基き,究極的には地震発生のメカニズムをとらえることを主目的とする。


かこう岩安山岩などの一定の標準的な試料を地質調査所の実験施設に応力をかけて,マイコン等につなぎ小規模のクラック波を地震波の探知のように発生時刻規模,発生地点を決めて,データを作成した。このデータをもとに,時系列などを考え可能な統計解析を行なった。
これまでの研究成果としては,これらのデータにフラクタル的な構造が,空間的にも時間的にも存在し,これらの量的な側面を一定研究したということがある。応力の変化に伴なって空間フラクタル次元が変化すること,時間的には長記憶性(long range correlation)が見られること。また地震活動と同様に時々,顕著な余震のようなクラスターが発生すること,このクラスターの時間変化を改良大森型公式による点過程解析をすると,応用の変化とともにP値の変化が見られること,また規模の分布が指数分布のようになっておりこのパラメータが時間変動することなどである。
これらの成果は,平田が主に地震学会統数研共同研究会(斎藤代表)などで折に触れて発表しており,論文としても作成している。
しかし,このデータを地震予知などで重要な概念である静穏期などの研究を扱うにはクラックの規模についてのデータの不備(とくに大クラックの場合)を補う必要があり,これからも研究を存続する必要がある(さ来年あたり)。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

平田:地震学会・春・秋季(1986,7)詳細省略
平田:(1987)Omori’s Power Low Aftershock Sequences of Microfacturing in Rock Fracture Experiment J.Geophys.Res.vol.92 6215−6221
平田他:(1982)Fractal structure of spatial distribution of microfracturing in rock, Geophys.J.R.astr.Soe.90:2,369−374。
尾形他:Some Statistical Features of the Long−Term Variation of the Global and Regional Seismic Activity, Res,Memo,346 I.S.M. submitted to J.Geophys.Res.
平田:(1987)新しい地震観とフラクタル,地震40巻459−467
平田:(1986)岩石破壊実験からみた地震現象(地震から微小破壊まで成立する統計的法則)統計数理vol.34,1号,61−72。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

地質調査所におけるA.E.発生機器とマイクロコンピュータを連動させ,A.E.の発生時系列データを収集する。このデータを統計数理研究所におけるマイクロコンピュータで変換を行なう。作成された点過程カタログを代表者作成の統計ソフトウェアによって解析する。
全体としてA.E.と地震発生過程との類似点に注目することによって,地震データそのものには不可能なデータの物理的な再現性を有効に使って,地震等の予知等に応用したい。このような研究は従来にはなかったものであり,今回の共同研究所は当研究所において外は不可能であろう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

西澤 修

通産省工業技術院地質調査所

平田 隆幸

筑波大学