平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2058

専門分類

8

研究課題名

自然観・科学文明観と信頼観の構造の国際比較

フリガナ

代表者氏名

ハヤシ フミ

林 文

ローマ字

HAYASHI Fumi

所属機関

東洋英和女学院大学

所属部局

人間科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

社会調査による意識の国際比較研究の中で、人間関係の信頼感が様々な社会の中で生きる人々の
行動や考え方の中で重要な要素となっていることが次第に明らかになってきた。人間関係に関連す
ることばかりでなく、一見無関係な事柄についても、信頼という要素を無視できないと考えられる。
7カ国国際比較調査のデータによると、この信頼感の様相が国によって異なることもわかってき
た。それぞれの文化の中で、信頼ということを中心にしたこれらの考え方の構造を把握するには、
これまでに行われてきた様々な社会調査データからも、そのような視点で分析をする必要がある。
 一方、7カ国国際比較調査で明らかになってきたことは、科学技術に対するポジティブな見方、
ネガティブな見方が一様ではなく、日本においては、人間の心に関するところは科学の発達とは異
なる次元として捉えられていることなどが挙げられる。また、日本における自然観に関する調査に
よると、自然に対する素朴な感情と人間関係の信頼感との関連が見出されている。科学技術・科学
文明観と自然観の間にも何らかの関連が伺える。
 本研究では、これまでに世界で行われた様々な調査の結果を改めて読み解き、データライブラリ
で獲得できるデータを集めて再分析することによって、自然観・科学文明観と信頼感の構造を解明
してきた。まず、7カ国比較データをさまざまな視点から再分析し、自然観、科学文明観、自然観
や信頼感の関連を捉えなおした。また、直接に関連がないと考えられる項目についても十分に検討
をすることにより、意識の内的な構造を深く理解してきた。さらに、日本における地域差(同じと
ころと異なるところ)を探ってきた。なおかつ、同時に世界で行われた調査で関連する問題を含む
調査データから情報を見出すことによって、探索的解析の視点から自然観、科学技術や科学文明観、
信頼感だけの関連だけでなく、より広い視野から捉えなおすことに取り込んだ。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.林 文,山岡和枝(2002):調査の実際,朝倉書店。
2.林 文,佐々木正道(2002):日米の親子調査?親子における考え方の継続について?,第
30回日本行動計量学会大会発表論文抄録集,342-343。
3.鄭 躍軍(2002):中国・日本における国民の環境意識に関する研究,環境経済・政策学会
2002年大会報告要旨集,72-73。
4.鄭 躍軍(2002):抽出台帳が利用できない場合の確率標本法?意識調査における非標本誤
差について?,第70回日本統計学会講演報告集,382-383。
5.鄭 躍軍,吉野諒三(2002):標本抽出名簿がない場合の個人標本抽出?北京市・上海市に
おける意識調査?,第30回日本行動計量学会大会発表論文抄録集,346-349。
6.山岡和枝,鄭 躍軍,吉野諒三(2002):健康観と信頼感,第30回日本行動計量学会大会発
表論文抄録集,350-351。
7.鄭 躍軍,吉野諒三(2003):東アジア価値観比較調査に向けて?中国における意識調査の
ための標本抽出の実践的検討,よろん,第91号,16-21。
8.鄭 躍軍,村上征勝,吉野諒三他(2003):日本・中国の国民性比較のための基礎研究?
中国北京市における意識調査?。統計数理研究所研究リポート89,263pp。
9.鄭 躍軍,村上征勝,吉野諒三他(2003):「日本・中国の国民性比較の基礎研究(2)?中国
上海市における意識調査?」,統計数理研究所研究リポート90,247pp。
10.吉野諒三(2003):「信の崩壊」?世論調査方法論の今日の課題?,行動計量学29(1):45-54。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

有藤 慎一

(株)日経リサーチ・システム開発局

鄭 躍軍

統計数理研究所

村上 征勝

統計数理研究所

吉野 諒三

統計数理研究所