平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2060

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

4

研究課題名

第一原理量子モンテカルロ計算における物理乱数と擬似乱数の性能評価

フリガナ

代表者氏名

マエゾノ リョウ

前園 涼

ローマ字

Ryo Maezono

所属機関

北陸先端科学技術大学院大学

所属部局

情報科学研究科情報科学専攻

職  名

講師

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究は,物理乱数列を用いた第一原理量子モンテカルロ(QMC)計算を実行し,その結果を参照して,代表的な擬似乱数生成法(PRNG)のパフォーマンス評価を行うことを主目的とする.すなわち,擬似乱数列内の相関(系列内相関)の有無を検証する.QMC法としては,変分モンテカルロ(VMC)法を対象とする.
 本研究のQMC計算では,Cambridge大学Cavendish研究所のR.J. Needs教授のグループが開発・保守管理をしているCASINOコードを利用した.本研究で比較・検討するPRNGは,RANLUX,MRG8,およびMersenne Twister (MT19937) の3種類である.本研究で対象とするPRNGのパフォーマンス評価を行う基準として,物理乱数の結果を参照値とする.
 本研究の計算対象となる物質は,水素原子(Z = 1)であり,その試行波動関数としてパラメータを含む を用いたVMC計算を行った.この試行波動関数の場合には,全ての に対して解析解を求めることが可能であり,乱数性能を評価するための参照系としては最適である. とするテスト計算によれば,最も質の低いRANLUX-0では統計誤差の範囲を超えて間違った値が得られてしまうことが分かった.また,VMC計算で得られる諸量に対するMC時間ステップ依存性について調べたところ,メトロポリス法における採択率が約50%となる時間ステップで,VMCエネルギーのエラーバーと相関長がそれぞれ最小となっていることがわかった.このことは,採択率50%を与える時間ステップを使用することで,最も効率の良いMCシミュレーションが行えることを意味している.これらの研究成果を,Progress in Nuclear Science and Technology誌に投稿し,アクセプトされた.
 本研究課題では,大規模QMC計算で必要となる並列化乱数生成法についても,各種アルゴリズムの性能評価に取り組んでおり,現在も継続して研究を遂行している.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・ 論文発表:
(1) Kenta Hongo and Ryo Maezono,
"Quantum Monte Carlo simulations with RANLUX random number generator",
Progress in Nuclear Science and Technology (accepted).

・ 学会発表:
(1) Ryo Maezono,
“Random Number Generators Tested on Quantum Monte Carlo Simulations”
Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications and Monte Carlo 2010 (SNA + MC2010), October 20, 2010, Tokyo, Japan.

・ プレプリント:なし

・ ホームページ:
 http://homepage.mac.com/rmaezono/research/recentTopics.html

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

なし

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

田村 義保

統計数理研究所

本郷 研太

Harvard University