平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−30

専門分類

5

研究課題名

結晶の対称性に関する幾何確率

フリガナ

代表者氏名

イトウ ヨシアキ

伊藤 栄明

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

結晶の対称性に関する統計的分布を説明するモデルについて幾何確率という立場からの研究を行う。すべり鏡映面を持つ群は出やすい等の経験法則を説明するには従来から統計数理研究所で行ってきた群とその表現にもとづくモデルでは不十分であり幾何確率という立場から現象論的な接近をこころみる。


(1)結晶構造を単純化した楕円体の最密パッキングについてのNowacki,Matsumotoの予想を数式処理ソフトREDUCEをもちいて解決した結果を論文にまとめた。
(2)相互にどの程度違いがあれば一つの種とするか。データベースICSDをもちいてどの空間群がでやすいかについて統計的研究の方法を考察した。種の定義を適切に行ない計算機により自動的に頻度が得られるようにする計算機プログラムを作成している。unit cellのなかにある原子の数に注目した方法で仕事をすすめている。
(3)どの点群がでやすいかについてのモデルを提案し,データと比較し,論文にまとめた。ランダムに対称操作が加わるというモデルでデータがよく説明できることを示した。乱数をもちいたシミュレーションによる方法,マルコフ連鎖をもちいる方法,について研究を行なった。
(4)対称性のひくい元素合金の構造について,最密充填構造がゆがんだ結果としてとらえ,もとの最密充填構造を推定する方法について考えている。これは結晶についての新しい分類をあたえるものであるとおもわれる。結晶のランダム生成モデルを発展させるためにもこの問題は重要であり研究を進めている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Itoh,Y.and Matsumoto,T.Random generation model for statistical distribution on point groups,Acta Cryst.(1991),A47,204−206.
Tanemura,M.and Matsumoto,T.On the density of p31m packing of ellipses,Z.Kristallogr.(to appear).


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

結晶の対称性についての統計的取析については本研究所で以前から研究を行っている。群の表現にもとづいてランダムに群を生成するという方法であり,シミュレーションによる方法数値計算による方法等についての計算機プログラムである。結晶学の研究者との協力により,対称性が形成されるメカニズムを解明するための基礎となる幾何確率的なモデルをつくる。シミュレーションを行いデータベースICSDより得られるデータと比較しすべり鏡映面は出やすい等の経験則の説明をこころみる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 一政

高エネルギー加速器研究機構

武田 弘

千葉工業大学付属研究所

種村 正美

統計数理研究所

松本  生

金沢大学

山本 昭二

無機材質研究所