平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2028

専門分類

6

研究課題名

GPSデータを用いた電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィー

フリガナ

代表者氏名

ウエノ ゲンタ

上野 玄太

ローマ字

Ueno Genta

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

GPS受信機の2周波電波の観測データから得られる視線方向の電子数積分値を用いて、高度
100kmから20,000kmまでの電離圏・プラズマ圏の電子密度3次元分布の推定を行う事を目的
としている。
 衛星を用いた測位システムであるGPSは2周波の電波を使用しており、その2周波電波の
地球電離大気による遅延時間の差を用いて、電波の伝搬経路上の電子密度の総数を測定する事
が出来る。そのような経路上の電子密度の積分値をTEC(Total Electron Content)と呼ぶが、
近年のGPS受信機網の急速な発展により、大量のTECデータが得られている。特に日本には世
界に類を見ない高密度のGPS受信機網(GEONET)が国土地理院によって展開され、そのデータか
らのTECの算出が京都大学によって進められている。これらのデータは積分値であるため、GPS
軌道高度の20,000kmから地上までの経路上のどの領域がTECに寄与しているかを推定するに
はトモグラフィーによる3次元電子密度分布の推定を行う必要がある。このような電子密度分
布の推定によって、観測データが非常に限られている超高層域の物理現象の解明に寄与でき
る。
 平成16年度においては電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィーについて、基本的なアル
ゴリズムの開発を進めた。地上GPS受信機による全電子数観測データから3次元電子密度分布を推
定するために拘束付き最小自乗法を用い、悪条件な時でも有意な推定が行えるアルゴリズムを採用
した。また、地上受信機に加えて、衛星観測データや、MUレーダー、アイオノゾンデ等の地上レー
ダー観測等の付加的な観測データが使える時はそれを用いた推定が行えるような柔軟なアルゴリ
ズムを開発した。平成16年度段階では実際の観測データでは用いず、経験モデルから与えた電子
密度から観測値を作り、そこから電子密度分布を再現し、トモグラフィーの精度を評価するシミュ
レーションのみを行った。この基本となるアルゴリズムの開発に関して国内学会、研究会などで発
表を行った。また、このようなGPSデータによるトモグラフィーの結果を評価、検討するための
独立な観測データを得るために、平成16年8月には東北大学蔵王観測所において大気光の観測を
行った。この観測データは平成17年度に行われる予定の実データを用いたトモグラフィーの結果
との比較に用いられ、トモグラフィー推定の精度の評価が行われる予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

寺石周平、齊藤昭則、上野玄太,GPS地上及び衛星観測データを用いた電離圏電子密度トモ
グラフィー・アルゴリズムの開発,地球電磁気・地球惑星圏学会第116回講演会,2004。
http://www.kurasc.kyoto-u.ac.jp/sgepss/sookai/116/prgram116.pdf
寺石周平、齊藤昭則、上野玄太,GPSデータを用いた電離圏電子密度トモグラフィー・アル
ゴリズムの開発,中間圏・熱圏・電離圏研究会,2004。
Saito,A.,S.Fukao,and S.Miyazaki,High resolution mapping of TEC perturbations with
the GSI GPS network over Japan,Geophys.Res.Let.,25,3079-3082,1998.
Saito,A.,M.Nishimura,M.Yamamoto,S.Fukao,T.Tsugawa,Y.Otsuka,S.Miyazaki,and
M.C.Kelley,Observations of traveling ionospheric disturbances and 3-m scale
irregularities in the nighttime F-region ionosphere with the MU radar and a GPS network,
Earth Planets and Space,54,45-56,2002.
GPS全電子数データベース:http://stegps.kugi.kyoto-u.ac.jp

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大島 浩嗣

京都大学

齊藤 昭則

京都大学

寺石 周平

京都大学