平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−70

専門分類

7

研究課題名

小児期からの成人病の一要因としての小児肥満の検討

フリガナ

代表者氏名

トヨカワ ヒロユキ

豊川 裕之

ローマ字

所属機関

東邦大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

7 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、本来ならば中高年で発症する高脂血症や糖尿病等のいわゆる成人病が低年齢化し、小児期からの成人病等と呼ばれ問題となっている。小児におけるこれらの疾患の要因の一つとして肥満が挙げられるが、その寄与についての定量的な把握については不十分であると言わざるを得ない。本研究では、両者の関連を定量的に明らかにし、因果モデルを作成を行い、寄与の程度を明らかにする。


生活習慣が小児期の肥満に及ぼす影響を明らかにすることを目的として、都市部と山村部の小学生の皮下脂肪厚の測定と生活習慣についての調査を実施し、両者の関係について検討した。
用いた対象は、横浜市内の商業地区に位置する一小学校の生徒(1年生61名、3年生73名、5年生54名:以下「横浜」と略)と長野県上伊那郡の一山村の小学校の生徒(1年生26名、3年生23名、5年生20名:以下「長野」と略)である。
学年、性別に分けて測定値を比較したところ、体重、皮下脂肪厚、ローレル指数の全てについて「横浜」「長野」両群間で有意差は見られず、従来から言われていた都市部の生徒の方が農村部などの生徒より脂肪量が多く、肥満傾向にあるという仮説は立証できなかった。
生活習慣に関する調査の結果としては、屋外での遊技時間、間食頻度・量については差は見られず、歩行時間については「長野」の方が短いという結果が得られた。この原因として「長野」では、近隣に同世代の子供がいないこと、および交通の手段として自家用車が非常に普及しており、歩行時間・距離が著しく減少していること、さらに行動範囲が拡張して山村であっても菓子類を容易に入手することが可能になったためと考えられる。なお、この生活習慣に関する調査結果は、前述の皮下脂肪厚測定より得られた結果の原因と考えられるので、両者の関連について検討したが、有意な関連は得られなかった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.研究対象として、申請者が長年に亙り研究のフィールドとしている横浜市、および長野県上伊那郡長谷村の小学校に通う小学生を対象とする。2.身体状況の把握として、身長・体重等の身体計測値のみではなく、肥満の指標としてより適切である皮下脂肪厚を用いる。尚、測定には簡便にして精度が高いAモード式超音波皮脂厚計を用いる。3.必要に応じ生活習慣等についての調査や、保健室の記録等を用い、対象児の個人別のリスクを明らかにする。4.3.で得た小児期からの成人病のリスクと2.で得た皮下脂肪厚を含めた身体状況との関連を、多変量解析を用いて定量化し、その関連をモデル化する。5.本研究の遂行には、多変量解析を始めとする高度な統計解析が必要となるため、統計数理研究所のスタッフの協力なしでは不可能である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

城川 美佳

東邦大学

駒澤 勉

統計数理研究所

高柳 満喜子

東邦大学

中谷 弥栄子

東邦大学

西川 浩昭

筑波大学

松井 研一

東邦大学