平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−35

専門分類

3

研究課題名

水産資源研究への時系列解析(状態空間モデル)の応用についての研究

フリガナ

代表者氏名

カンノ ヤスジ

菅野 泰次

ローマ字

所属機関

北海道大学

所属部局

水産学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

水産資源学分野には漁獲量などの時系列データが豊富にあります。しかし、このデータは魚類が海洋に生活するために、時々刻々の資源状態を連続的かつ詳細に観測したものではありません。手元に得られる離散的・断片的なデータから全体を推測するという点では、統計学の応用が極めて期待される分野です。この分野での時系列解析の応用を探ることが本課題の目的です。


副題「鱗の隆起線の時系列解析による個体年齢の推定」
マダラは主に耳石によって年齢が決定されるが、冬季に漁獲されるマダラは鮮魚として出荷される際、魚体を傷つけることを好まないために耳石を取り出すことができず、鱗によらなければならない。本研究では年齢査定の困難な魚種に対する応用を目的にマダラの鱗隆起線を分析して年齢査定を行なった。
隆起線の間隔をデータ y(t)とし、この y(t)について濾波操作により誤差を除去しして、体内リズムを抽出した。数式フィルターとしては ARモデルおよびカルマンフィルターモデルを用いた。2つのフィルターによる平滑値はほとんど差がなかった。後者のモデルによる平滑値についてスペクトル密度を計算し、3つの周期の山を認めた。5-8本にあると考えられる年周期のリズムを抽出するために移動平均によるならしを行ない、さらに、年周期を考慮しつつ平滑値の一次差分がマスナスからプラスに変化する位置として、年周期の開始点を求めた。3個体のデータを解析した結果、年周期に短周期の波が過度に影響する例、年周期の波の一部が欠如している例が見られた。しかし、個体ごとにここれらの特徴を認識することで正確な年齢査定ができる可能性が考えられた。精度を高めるためにさらに解析アルゴリズムの改良が必要である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

なし
研究の一部をシンポジューム報告として10月に公表の予定
シンポジューム「水産動物の年齢と成長」の中で「年齢形質法」として研究の一部を発表,発表者:菅野泰次、日本水産学会春期大会、平成9年4月5日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(1)タラ類の漁況予測を中心とした研究を計画しています。漁獲量、漁獲努力量、環境データおよび資源量を観測変数と状態変数として状態空間モデルに取込み、適切なモデル構成と平滑化により資源量推定を行ない、併せて漁況予測を行なうことを希望しています。(2)魚類の鱗は年齢、成長についての情報をもつ生活履歴形質です。この形質を数値化し解析することにより、個体の年齢、成長履歴および通過した環境変化などを明らかにすることができます。しかし、実際の解析は必ずしも容易ではなく、攪乱要素の混入、状態変数のカタストロフィックな変化などがあり、これらの影響を考慮しながら精度を上げることが必要です。状態空間モデルによる解析を行ない、マダラなど解読の困難な魚種で解析の可能性を検討します。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所