平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−10

専門分類

1

研究課題名

乱数に対する逆サイン法則とその応用

フリガナ

代表者氏名

タカシマ ケイゾウ

高嶋 恵三

ローマ字

所属機関

岡山理科大学

所属部局

応用数学科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

モンテカルロ法などのような、統計理論の応用などにおける数値計算において、乱数は必要不可欠な道具である。本研究では離散確率過程の重要なモデルである random walk の汎関数による、乱数の統計的検定の理論的研究とその応用を目的とする。特に広く実用に供されている、線型合同法、M系列、加算生成法などについての研究と物理乱数などへの応用を目的とする。


離散確率過程の中でも最も重要な random walk の見本関数の汎関数を用いる統計的検定を種々の擬似乱数生成法に対して応用することにより、いくつかの生成法の統計的偏りを検出し、その理論背景を研究した。具体的には、S.Wolfram によって提唱され研究されている、Cellular automata の理論を応用した生成法については、 maximum, Hamming weight, sojourn time, last visit time など多くの汎関数に関して、極めて悪い結果を得た。
このことは、この生成法が Wolfram や Engel らの主張するように、”よい乱数”とは考えられないことを示している。Cellular automata 擬似乱数では、見本関数の長さを、cell の数の 1.2 倍程度にとる時、上記の各汎関数に対して、原始3項式によるM系列擬似乱数の場合と比較しても、極めて悪い結果が得られた。
この生成法は、M系列擬似乱数と違い、非線形生成法であるが、それにも関わらず、確率過程のシミュレーションには不適当であることが解る。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Random walk tests of cellular automata pseudorandom numbers, to appear in ""Proceedings of the 3rd St.Peterburg Symposium on Simulation"", 1998.

『擬似乱数に対する random walk 検定 (4)』,高嶋、日本計算機統計学会、1997年11月20−21日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまでの共同研究により、1次元 random walk の汎関数の理論に基づいた統計的検定において、M系列や加算生成法などの擬似乱数に対して、これまで知られていなかった現象が観測されることが分かってきた。これらの現象の中、Hamming weight と sojourn time に関係する側面に対して代数的組合せ論や確率論的アプロ−チにより説明される点と、逆にそれらの理論的説明から外れる面とがあることか分かってきた。さらに、maximum, hitting time などの汎関数に関する現象に関しては、本研究では、これらの点について、Mathematica, Maple などの数式処理ソフトウェアを利用して、代数的確率統計的に研究する。また、物理乱数についても統計的検定を試みることにより、M系列などの擬似乱数と物理乱数との比較研究を行なう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

清水 良一

統計数理研究所