平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−60

専門分類

7

研究課題名

競合死因に基づく生存曲線の特性に関する研究

フリガナ

代表者氏名

ノダ カズオ

野田 一雄

ローマ字

所属機関

明星大学

所属部局

理工学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

複数個競合する死因に基づく寿命短縮の確率分布、あるいは生存曲線を考える場合、着目する死因による寿命の生存曲線を、他の死因の影響がある見かけ上のそれを排除するために、着目する死因が単独に作用したとするimplicitなモデルを設定し、推測する必要がある。本研究では、これら寿命が独立であるという通常置かれる仮定を外した上での結合生存曲線を推定し、独立を仮定した従来の推定生存曲線との比較を行う。その場合、死因によって寿命短縮の構造が異なるために、最適な統計量を工夫して、生存曲線の特性を比較検討する。


X-線照射被曝マウス(処理群)と非照射マウス(対照群)の終生飼育データ(Robinson and Upton(1978)提供)について、発生した各種のがんを競合死因とする寿命短縮の構造を研究した。
線量、被曝期間の差異による11グループの対象が4種の死因の競合関係のもとで、それぞれ一つの死因に着目し、他の死因がないとする仮定のもとで implicitな生存曲線を推定する。対照群のそれとの対比において、着目する死因すなわちがんの影響による寿命短縮が推定される。その場合、既成の研究で置かれていた競合死因の影響が独立である。
したがって、短縮される寿命も独立であるという仮定を外し、着目するimplicitな寿命と着目外の寿命の2次元確率分布をMarshall-Olkin型2次元ワイブル分布とする族をモデルとして設定した。
モデルのパラメータの推定として最尤推定を考え、短縮される寿命平均値を最尤推定量に基づく推定量による推定を求めた。また、このような最尤推定量および寿命平均値の推定量の漸近分布を求めた。
前提として、モデルのデータに対する適合度をみるために、AICによるモデル選択を考えた。パラメータの推定値ならびに短縮寿命平均値の推定値は、11グループの各着目死因別において求められた。計算結果として、骨髄性白血病群が最も感度が高い寿命の短縮を示していることがわかる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

On AIC's corrected for Estimating Kullback-Leibler Information for Linear Model Selection,The
52nd Session of ISI,August 10-18,1999,Helsinki,Finland(発表予定)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

これまでの共同研究によって、X線被曝マウスならびに対照群のマウスの終生飼育実験データについて、種々の発生したがんを死因とする競合危険に基づく寿命の上記implicitな生存曲線の推定を、ワイブル分布族をモデルに用いることによって、効果的に示してきた。また、処理群と対照群との有意差検定法を導出し、寿命短縮の構造を明らかにしてきた。その場合、着目する死因に基づく寿命は、通常置かれる独立性を仮定している。本年度では、上述の寿命の独立性の仮定を外し、これらの結合分布に基づくimplicitな生存曲線の推測を第1の目的として研究する。また、結果について、有意差検定法を考案することにより、これまでの研究結果との相互比較を行う。その場合、死因による寿命短縮の特徴を個別に明らかにするために、最適な統計量を工夫する。各分野の知識・情報が必要となるために、本研究を共同研究として推進することが望まれる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 由起子

放射線影響研究所

鈴木 和幸

電気通信大学

三野 大来

順天堂大学

宮岡 悦良

東京理科大学

村上 征勝

統計数理研究所