平成15（2003）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	15−共研−2007			専門分類		1
研究課題名	スキャン統計量に関する確率分布と統計的応用
フリガナ 代表者氏名	ヒラノ　カツオミ 平野　勝臣			ローマ字		Hirano Katsuomi
所属機関	統計数理研究所
所属部局	統計基礎研究系
職　　名	教授
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	3　人

研究目的と成果（経過）の概要

連やパターンに関する統計量の分布と統計的応用の研究成果が、ここ1〜2年であいついで本にまと
められている:
　Balakrishunan and Rao,Handbook of statistics 20(North-Holland)
　Chang Cui and Hwang,Reliability of Consecutive Systems(Kluwer)
　Balakrishunan and Koutras,Runs and Pattern with Applications(Wiley)
　Glaz and Balakrishunan,Scan Statistics and Applications(Springer)
　Durret,Probability Models for DNA Sequence Evolution(Springer)
　Ewens and Grant,Statistical Methods in Bioinformatics(Springer)
　Fu and Lou,A Finite Markov Chain Imbedding Approach(World Scientific)
　Charalambides and et.al,Probability and Statistical Models with Application(Chapman & Hall)
　この背後には確率モデルとしての興味の他に,システムの信頼性や品質管理など工学的応用やDNA系
列の解析に有用な道具を提供していることが考えられる。これらへの応用上,連やパターンのみならず
スキャン統計量や複数のパターンに関するより複雑な問題への研究が望まれている。
　これに伴い,解析のための道具として確率生成母関数法やマルコフチェイン埋め込み法の開発から
利用技術の改良へと発展している。更に,計算機と数式処理ソフトの改良がこれまでギリギリとされ
た研究の壁を破り成果をあげる一因となっている。これと同時に理論的に美しい結果もでている。
　本年の目標としてDNA系列のマッチングの問題から起こったスキャン統計量の待ち時間問題と,ある
パターンが起こるまでにサブパターンの起こる回数の分布についての研究をすすめることにした。前者
に対してはHan,Q.and Hirano,K.(2003)でまとめた。これは2つの系列において長さkのウインド
ウ内で一ヶ所の不一致をみとめた殆ど一致がはじめて起こるまでの待ち時間分布をマルコフ系列で導い
た。、後者に対してはHirano,K.and Aki,S.(2003)でまとめた。これは2値系列で長さkの連がはじ
めて起こる間でに長さr以上の連が幾何分布に従うと言う結果を一般化する問題で,多値マルコフ系列
において長さ有限のパターンがはじめて起こるまでにその部分パターンが起こる回数の分布が幾何分布
に従う条件を調べた。
　またこの過程から生じるいくつかの問題については2次元パターンの待ち時間問題について取り組
みAki,S.and Hirano,K.(2004)でまとめた。これは2次元の0,1のパターンがはじめて起こるまで
の待ち時間分布と工学的なシステムの信頼性への応用を考察した。この他,条件付確率生成母関数法の
新しい利用法として,平野勝臣、安芸重雄(2003)で,n人でジャンケンをして,勝ち残った人で再びジ
ャンケンを繰り返し,このようにして最後の勝者一人になるまでのジャンケンをする。このときジャン
ケンの回数の厳密な分布の導出に成功した。そこではジャンケンのいくつかの性質をあたえた。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文
平野勝臣、安芸重雄(2003).ジャンケンの厳密な待ち時間分布と性質、統計数理　第51巻,
167--172。
Han,Q.and Hirano,K.(2003).Waiting time problem for an almost perfect match.,Statistics
& Probability Letters,65,39--49.
Aki,S.and Hirano,K.(2003).On the waiting time for the first success run,Research
Memorandum No.899,The Institute of Statistical Mathematics.
Hirano,K.and Aki,S.(2003).Number of occurrences of subpattern until the first appearance
of a pattern and geometric distribution,Statistics & Probability Letters,65,259--262.
Inoue,K.(2004).Joint distributions associated with patterns,successes and failures in a
sequence of multi-state trials,Annals of the Institute of Statistical Mathematics,56,
143--168.
Aki,S.and Hirano,K.(2004).Waiting time problems for two-dimensional pattern,Annals of the
Institute of Statistical Mathematics,56,169--182.
学会等発表
井上潔司,安芸重雄"Generalized P'olya urn model and related multivariate distributions"
(2003.12.11.科研費シンポジウム「データ解析のための統計科学理論」横浜市立大学)
安芸重雄"Stepwise smoothing公式を利用した離散確率の計算法"(2003.12.11.科研費シンポ
ジウム「データ解析のための統計科学理論」横浜市立大学)
韓　清,平野　勝臣"殆ど一致の待ち時間分布"(2003.12.11.科研費シンポジウム「データ解
析のための統計科学理論」横浜市立大学)
Aki,S.and Hirano,K."On the waiting time for the first success run",2nd International
Workshop in Applied Probability,March 25,2004,University of Piraeus,Greece.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
安芸　重雄	大阪大学
井上　潔司	統計数理研究所