平成18（2006）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	18−共研−1025	専門分類	9
研究課題名	生物群集における格子モデリング
フリガナ 代表者氏名	ナカギリ　ナリユキ 中桐　　　斉之	ローマ字	Nakagiri Nariyuki
所属機関	兵庫県立大学
所属部局	環境人間学部
職　　名	助手
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研究目的と成果（経過）の概要

本研究の目的は、生物群集における共存安定問題や生物進化の理論的研究である。
今年度は、生態系の数理モデリングと格子モデルによるシミュレーションを用いて、生態学の絶滅問題および生物多様性の問題を研究してきた。

１）群集の種多様性を決める共存安定問題の研究
野外においては、1つの生態系に数多くの競争種の共存が観察される。ところが、理論や実験は同一生態系での競争種の共存(属所共存)を許さない。そこで、草原群落や植物プランクトンを対象として、実際の多種共存している群集の種間関係・ダイナミクスからモデリングを行ってきた。
また、このモデルを基礎にして、生物の共存条件をシミュレーションなどの解析によって研究してきた。その結果、生物共存は、無限の時間における平衡点を考えるのではなく、ある限定されたタイムスケールを考慮すると共存領域が拡がることが分かった。この結果はEvolutionaly Ecology Researchに発表された。

２）生物進化の研究
　格子ロトカ・ボルテラ模型を使って、性比の理論を研究した。動物の性比が０．５に近い理由を説明した。なぜ人間の場合、性比が０．５よりわずかにずれるのかという理由を説明した。その他、利他行動の進化や種分化の機構などの研究を行ってきた。ハト・タカゲームや雪だまりゲームなどのゲーム理論と実際の生物との関連を研究してきた。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

中桐斉之（兵庫県立大・環境人間），泰中啓一，吉村仁（静岡大・創造科学技術院）
草原群落の種多様性：格子モデルによる解析
第５４回日本生態学会大会，愛媛大学, 2007年3月

N. Nakagiri; T. Togashi; T. Miyazaki; K. Tainaka; J. Yoshimura;
Special competition and coexistence in grassland communities.
International Symposium on Dynamical Systems Theory and Its Applications to Biology and Environmental Sciences, Shizuoka Univ., Hamamatsu, 2007. 03.

Jin Yoshimura; Kei-ichi Tainaka; Takanori Suzuki; Yukio Sakisaka; Nariyuki Nakagiri; Tatsuya Togashi; Tatsuo Miyazaki;
The role of rare species in the community stability of a model ecosystem: Evolutionary Ecology Resrerch, Vol.8, 629-642 (2006).

Kei-ichi Tainaka, Tarou Hayashi and Jin Yoshimura:
Sustainable sex ratio in lattice populations.
Europhysics Letters, Vol. 74, No. 3, 554-559 (2006).

K. Kitamura, K. Kashiwagi, K. Tainaka, T. Hayashi, J. Yashimura, T. Kawai and T. Kajiwara:
Asymmetrical Effect of Migration on a Prey-Predator Model.
Physics Letters A, Vol. 357, Issue 3, 213-217 (2006).

T. Miyazaki, K. Tainaka, T. Togashi, T. Suzuki, J. Yoshimura:
Spatial coexistence of phytoplankton species in ecological timescale. Population Ecology, Vol.48, 107 − 112 (2006).

Kei-ichi Tainaka, Yoshiaki Itoh, Jin Yoshimura, Takahiro Asami
A geographical model of high species diversity.
Population Ecology, Vol.48, 113 − 119 (2006).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
伊藤　栄明	統計数理研究所
向坂　　幸雄	千葉大学
吉村　　仁	静岡大学