平成17（2005）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	17−共研−2009			専門分類		1
研究課題名	非線形構造探索のための統計的モデリング
フリガナ 代表者氏名	コニシ　サダノリ 小西　貞則			ローマ字		Konishi Sadanori
所属機関	九州大学
所属部局	大学院数理学研究院
職　　名	教授
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配分経費	研究費	0千円	旅　費		0千円		研究参加者数	8　人

研究目的と成果（経過）の概要

現在，生命科学，システム工学，ロボット制御工学から経済学やマーケティングなどの広範な分野で，極めて次元の高いデータや経時的に観測・測定された高頻度データなどを対象とした情報抽出のための新たな手法開発が求められている．平成１７年度は，このような高次元大規模データや離散時点観測データから有益な情報やパターンを効率的に抽出・処理するための統計的手法開発を目指して研究を行い，以下のような研究成果を挙げた．
(1) 複雑な現象を近似するために，非線形関数の線形結合でモデルを構成する基底展開法の理論的研究を推し進め，モデルの推定法，評価法について総合的に研究した．特に，現象の局所変動に対して極めて高い適応性を有するウェーブレットを基底関数とした非線形モデリング手法について研究し，ゲノム解析における細胞周期データの分析，生物工学における人体の歩行の仕組みとロボット研究などへの応用研究を推進中である．
(2) 形や立体の関数データ化と高次元関数化データ集合に基づくモデリングの理論・方法論の研究を行い，分光スペクトル解析，タンパク質の立体構造解析，画像処理等への適用研究を行った．
　(3) 昨年度に引き続き，共分散構造分析に関する統計的推測論の研究を推進した．特に，解析的アプローチを数値的アプローチへ置き換え，可能な限り汎用性の高い柔軟な手法開発を目指して，ブートストラップ信頼区間構成法について研究し，共分散構造分析に関するブートストラップt-法，ブートストラップBCa 法やABC 法などの性質，様相を理論的および数値的に明らかにした．
　(4) 離散時点観測データや宙空間データの関数化処理法について研究し，関数データ集合に基づくロジスティック判別と自己組織化マップを応用した新しい分類手法を提案した．データの関数化およびモデルの推定にはそれぞれ正則化法を適用し，情報量およびベイズの観点から導出したモデル評価基準を用いて推定に本質的なモデル調整パラメータの選択を行った．

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文
Nonaka, Y. and Konishi, S. (2005). Nonlinear regression modeling using regularized local likelihood method, Annals of the Institute of Statistical Mathematics, 57, 617 - 635.

Araki, Y. and Konishi, S. (2005). Functional regression modeling via regularized basis expansions and model selection, MHF preprint series, MHF 2005-3, Kyushu University, Fukuoka.

中村永友・上野玄太・樋口知之・小西貞則 (2005). 欠損混合分布モデルとその応用，応用統計学，34-2, 57-73.

藤井亨・小西貞則 (2005). ウェーブレットによる関数データ判別, 応用統計学, 34-3, 151-169.

Fujii, T. and Konishi, S. (2006). Nonlinear regression modeling via regularized wavelets and smoothing parameter selection, to appear in Journal of Multivariate Analysis.

学会・研究集会発表
藤井亨・小西貞則．正則化ウェーブレットに基づく非線形回帰モデリングとその応用, 2005年度統計関連学会連合大会，2005年9月，広島．

Fujii, T. and Konishi, S., Functional discriminat analysis via regularized wavelets, Twelfth International Conference of the Forum for Interdisciplinary Mathematics on Statistics, Combinatorics, Mathematics and Applications, December, 2005, Auburn University, Auburn, Alabama.

Kayano, M. and Konishi, S., Functional principal component analysis via regularized basis expansions and its application, Twelfth International Conference of the Forum for Interdisciplinary Mathematics on Statistics, Combinatorics, Mathematics and Applications, December, 2005, Auburn University, Auburn, Alabama.

堂園剛司・松井秀俊・川野秀一・小西貞則．自己組織化マップに基づく関数データクラスタリング，研究集会「ノンパラメトリック統計解析とその周辺」，慶応大学，2006年3月．

小西貞則．非線形構造探索のためのモデリングと数理，シンポジウム「21世紀の統計理論−課題と展望−」，統計数理研究所，2006年3月．

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
荒木　由布子	九州大学
市川　雅教	東京外国語大学
井元　清哉	東京大学
北川　源四郎	統計数理研究所
中村　永友	札幌学院大学
西井　龍映	九州大学
藤井　亨	九州大学