平成29（2017）年度　一般研究２実施報告書

課題番号	29−共研−2045		分野分類			統計数理研究所内分野分類			e
						主要研究分野分類			3
研究課題名	放射線治療における統計数理的評価に関する研究
フリガナ 代表者氏名	ミズタ マサヒロ 水田 正弘				ローマ字		Mizuta Masahiro
所属機関	北海道大学
所属部局	情報基盤センター
職　　名	教授
配分経費	研究費	40千円		旅　費		179千円		研究参加者数		6　人

研究目的と成果（経過）の概要

　本研究課題では、放射線治療における統計数理的評価の実施を目的としている。特に、最適な照射回数・照射線量の導出が最終的なゴールである。そのための重要な課題として、腫瘍および正常組織（危険臓器）への放射線影響の適切なモデルの設定がある。
　今回の大きな成果としては、腫瘍または正常組織への放射線の分布が非一様な場合における影響(Effect)の定義の評価である。すなわち、一様分布における評価量として広く使われているBEDを非一様分布への定義に拡張することである。多くの放射線治療の専門家では、単純にBEDの算術平均を用いている。これをIBED(Integrated BED)と呼ぶ場合がある。少しでも統計学の見識があるものは、算術平均が常に妥当であるとは考えない。しかし、IBEDの問題点を臨床家に分かり易く示すことは困難であった。
　本研究では、腫瘍または正常臓器の生存率に基づくBEDの拡張(ASF)を検討し、さらに、IBEDとの比較を実施した。その結果、IBEDの問題点と、生存率に基づくASFの妥当性をまとめることができた。その成果は、放射線治療の専門ジャーナルに採択された。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

Rojeet Shrestha, Ken-ichi Horano, Akira Suzuki, Satoshi Yamaguchi, Yusuke Miura,
Yi-Fan Chen, Masahiro Mizuta, Hitoshi Chiba and Shu-Ping Hui,
Change in Plasma Total, Esterified and Non-esterified Capric Acid Concentrations during a Short-term Oral Administration of Synthetic Tricaprin in Dogs,
Analytical Sciences November 2017, Vol.33, PP.1297-1303
The Japan Society for Analytical Chemistry

Ryo Takagi, Hiroyuki Minami, and Masahiro Mizuta,
Meta-Analysis With Symbolic Data Analysis And Its Application For Clinical Data,
10th Conference of the IASC-ARS/68th Annual NZSA Conference, hosted by the Department of Statistics, The University of Auckland in Dec 2017 (10-14 Dec 2017)

Ryo Takagi Yuriko Komiya Kenneth L Sutherland Hiroki Shirato Hiroyuki Date and Masahiro Mizuta,
Comparison of the average surviving fraction model with the integral biologically effective dose model for an optimal irradiation scheme,
Journal of Radiation Research, https://doi.org/10.1093/jrr/rrx084
2016/2017 IF 1.788

Anussara Prayongrat,Kikuo Umegaki,Arjen van der Schaaf,Albert C.Koong,Steven H.Lin,Thomas Whitaker,Todd McNutt,Naruhiro Matsufuji, Edward Graves,Masahiko Mizuta,Kazuhiko Ogawa,Hiroyuki Date, Kensuke Moriwaki, Yoichi M. Ito,Keiji Kobashi,Yasuhiro Dekura,Shinichi Shimizu and Hiroki Shirato,
Present developments in reaching an international consensus for a model-based approach to particle beam therapy,
Journal of Radiation Research, 2018, pp. 1-5
doi: 10.1093/jrr/rry008
2016/2017 IF 1.788

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会の実施
日時：2018年3月6日(火)　14:00〜17:00
場所：統計数理研究所　セミナー室2（D304）
テーマ：
放射線治療の最適治療計画導出における2数理モデルの比較
参加者数：10名

研究参加者一覧
氏名	所属機関
小宮 由里子	北海道大学
清水 信夫	統計数理研究所
庄 祐一	北海道大学大学院
高木 諒	北海道大学大学院
李 崎豪	北海道大学大学院