平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2047

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

統計解析システムにおけるライブラリの共有化

フリガナ

代表者氏名

フジワラ タケシ

藤原 丈史

ローマ字

Takeshi Fujiwara

所属機関

東京情報大学

所属部局

総合情報学部 環境情報学科

職  名

講師

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究の目的は,統計解析システムにおけるライブラリを共有化することにより,現在多くの統計解析システムが存在するなかで,プログラムをはじめとするさまざまな資産を効率的に有効活用することを目的にする.これにより利用者は,ひとつのあるシステムに縛られることなく,統計解析を行うことができる.統計解析システムの違いはユーザインタフェースなどさまざまな部分が挙げられるが,ユーザごとにその使いやすさや利便性は異なるといってよい.また分析の方向性や解析の場面において有用な統計解析システムが異なる場合もある.したがって,ユーザが任意に統計解析システムをその都度選択できればユーザの利便性が向上する.そのときに問題となるのは,処理手続きを記したプログラム(ライブラリ)であり,これが各統計解析システムで異なる,すなわち統計解析言語が異なるため,システムを自由に切り替えることは難しい.そこで本研究の目的であるライブラリの共有化が実現できれば,統計解析システム全般の有用性が高まるといえる.
 具体的な本研究の実現方法は,各統計解析システムで異なる統計解析言語を他のシステムの統計解析言語に変換するトランスレータを開発することによる.すでに統計解析システム XploRe から,本研究のメンバー(の一部)が開発に参加している統計解析システム Jasp の言語へと変換するトランスレータのプロトタイプは実現していた.本年度はこのプロトタイプからの研究成果を精査し,あらたに設計の見直した.具体的には変換後の統計解析言語である Jasp 言語について,より拡張性が高い言語へと設計の見直しを行った.これは統計解析言語である Jasp 言語がさまざまな統計解析システム間の変換において中間言語として位置づけることにより,ライブラリの共有化をより広く適用可能とするためである.現在はこのあらたな設計に基づき,Jasp 言語の実装を行っている.今後はさらなる実装と本研究の有効性を検証する.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

(1) Kobayashi, I., Fujiwara, T., Nakano, J., Yamamoto, Y. (2003), Extensibilities of a Java-based statistical system, Journal of the Japanese Society of Computational Statistics, Vol.15, No.2, 183-192.
(2) Nakano, J., Fujiwara, T., Yamamoto, Y. and Kobayashi, I. (2000), A statistical package based on pnuts, COMPSTAT2000 Proceedings in Computational Statistics, 361-366, Physica-Verlag.
(3) Nakano, J., Yamamoto, Y. and Honda, K. (2008), Programming statistical data visualization in the Java language, In Chen, C-H., H¨ardle, W. and Unwin, A. (eds.), Handbook of Data Visualization, 726-756, Heidelberg: Springer.
(4) 藤原丈史, 山本由和, 中野純司 (2008), 統計解析システム Jasp における既存ライブラリの利用, 日本計算機統計学会第22回シンポジウム論文集, 139-142.
(5) Yoshikazu Yamamoto, Junji Nakano, Takeshi Fujiwara (Accepted), Parallel computing in the statistical system Jasp, Computational Statistics, Springer.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

Wolfgang Hardle

Humboldt-Universitat zu Berlin

中野 純司

統計数理研究所

山本 由和

徳島文理大学