平成212009)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

21−共研−14

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

1

研究課題名

コウホートモデルの識別問題に関する研究

フリガナ

代表者氏名

フクダ コウセイ

福田 公正

ローマ字

Fukuda Kosei

所属機関

日本大学

所属部局

経済学部

職  名

教授

 

 

研究目的と成果の概要

時代×年齢形式の継続調査データ(コウホートデータと呼ぶ)から年齢、時代、世代の3効果を分離するときに識別問題が起こり、何らかの識別条件を付加する必要がある。これまで様々な識別方法が提案されてきた。その中で、Nakamura (1986)の方法は、超パラメータの推定に多大な計算時間を必要とし、たとえば50×50程度の大きなコウホートデータに適用するには困難を伴う。
 そこで、本研究では、大きなコウホートデータにも適用できる別な識別方法を2つ提案した。1つは主成分回帰(Principal components regression)を援用した方法であり、もう1つは部分最小二乗回帰(Partial least squares regression)を援用した方法である。これらの方法はいずれも回帰分析における多重共線性を克服する方法として広く知られているが、コウホート分析への適用は今のところ確認されていない。
 モンテカルロ・シミュレーション結果では、想定したパラメータの推定精度の観点からは、ややNakamura (1986)の方法より劣るものの、計算時間が数百分の一であり、特に大きなコウホートデータに実用的であることが明らかになった。主な結果は、日本統計学会(2009年9月)で発表するとともに、2010年夏刊行予定の英文学術書(Fukuda 2010)の一部で紹介される。

Fukuda, K. (2010). Household Behavior in the US and Japan: Cohort Analysis. Nova Science Publishers: New York (Forthcoming, ISBN978-1608769926).
Nakamura, T. (1986). Bayesian cohort models for general cohort table analyses. Annals of the                                 Institute of Statistical Mathematics 38B, 353-370.