平成242012)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

24−共研−2059

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

2

研究課題名

人工鼻による匂い識別を高感度化・適正化するアルゴリズムの開発

フリガナ

代表者氏名

フジオカ コウキ

藤岡 宏樹

ローマ字

Fujioka Kouki

所属機関

東京慈恵会医科大学

所属部局

DNA医学研究所・分子細胞生物学研究部

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

2千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

研究目的:
 本研究は、半導体センサーを搭載した人工鼻(FF-2A)による匂いの測定結果をもとに、異なるサンプル間の判別アルゴリズムを開発、医療応用や食品産業での品質管理・評価への応用法を開発することを目的とする。本研究の遂行によって、疾病の早期発見に応用可能な匂い評価法の開発、客観的な匂い評価法を使った食品・飲料への香り付加価値や品質管理の導入につなげる。
 本研究で使用する人工鼻FF-2Aは、10個の異なる酸化半導体センサーを搭載しており、センサーからの電気抵抗値を測定することで、匂いの絶対値化を可能にしている。揮発性成分の検出感度は、0.05ppb以上であり多種類の匂い分子を同時に検出することができる。
 申請者らは、FF-2Aを使用した匂い比較研究に実績があり、培養液中の微生物を90分以内に100個から発見できること(Fujioka et al., PLoS One, 2009)、冷凍食品の匂いから解凍後の匂い予測(藤岡ら、日本味と匂い学会誌、2010)、及び花の香りとヒトが感じる香りの主成分が同様の匂いパターンを示すこと(Shirasu, Fujioka et al. Biosci Biotech Biochem, 2011)を報告してきた。
 しかしながら、この装置は環境や食品領域に使用されているが、デフォルトで9種類の悪臭標準ガス(硫化水素、アンモニア、メチルメルカプタン、トルエン、ヘキサン、酢酸ブチル、トリメチルアミン、ブチルアルデヒド、及びプロピオン酸)との比較・強度計算ができるのみである。
 そこで本研究では、FF-2Aの適用範囲を広げ、悪臭以外の匂いの記録と比較を試験する。今回は、50種類の異なる匂い成分を測定し、電気抵抗値から計算される匂い類似性とヒトが感じる匂い分類との比較を行なった。

結果:
 ソムリエ学習用に用いられている化学物質及び、植物の匂いに関連する化学物質など、約50種類をFF-2Aで測定した。これらの値をクラスター解析したところ、タールやオークなどのこもった匂いと比較して、多くのフルーツ類の匂いが近い位置に配置されおり、主成分分析だけでも、ある程度のクラスター化が可能であり、分類においては、ヒトの感覚に近いものが多いことがわかった。しかし一方で、マスカットやオレンジの匂いが、こもった匂い群に近く配置されるなど、修正を必要とするものも見られた。
 今後、成分の化学構造とヒトが感じる匂い情報を基に、分類に有用な半導体を絞り込み、重み付けをすることでサンプルの分類に役立てる必要があると考えられた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

現在までに未発表。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会を開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

清水 信夫

統計数理研究所