平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−56

専門分類

7

研究課題名

相同性解析に基づく全生物リボソーム蛋白種のコンパイル

フリガナ

代表者氏名

オオタカ エイコ

大鷹 英子

ローマ字

所属機関

広島大学

所属部局

原爆放射能医学研究所

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生物界に普遍的に存在するリボソームは、生物種によって構成蛋白種数が異なっており、その数は50〜80余種にものぼる。進化的解析に供されるとき、個々の蛋白種別に扱われることが通例であるが、リボソーム全体として所定の形態を構築するが全構成種を通して解析の対象とする視点が重要である。相同性解析の各種手法に基づき相同蛋白種をコンパイルし、進化的解析の基礎となるデータベースを作成する。


本年度は、リボソーム蛋白質を対象とした分子進化学的解析を行なう際の基礎資料を得ることを目的として研究を行った。国際的な遺伝情報データベースに登録されている約1000種のリボソーム蛋白質のなかから、全配列が既知である大腸菌の54種のそれぞれに相同と考えられる蛋白質を「相同性解析」のアルゴリズムに基づいて同定し、大腸菌の命名法に従ってこれらを分類、統合した。
さらに、アミノ酸の物理化学的性質から推定される高次構造の類似度を指標として相同蛋白質同士の相似度マトリクスを構成し、これをもとに全54種のアライメントを構築した。その結果、以下に示すことが明らかとなった (Otaka, E. et al. 1993)。
(1)三大生物群を通して存在が認められる蛋白質種が少なからざる数にのぼる。(2)多くのアライメントは、挿入、欠失、分子伸長等の変化を生じているものの、ほぼ一対一対応のパターンを示す、すなわち、分子内転座(大腸菌L7/L12相当)、分子内二重転座(S6相当)、二分子融合(L10相当)等の大きな変異は稀である。(3)大幅な挿入、欠失、分子伸長等の変化は、三代生物群同士の間で見いだされる、逆に、同一群の中では、アミノ酸置換が主たる変異の要因となっている。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Otaka, E,. Hashimoto, T,. Mizuta, K,. The ribosomal proteins: I. An introduction to a compilation of the protein species equivalents from various organisms by a Universal Code System, Prot. Seq. Data Anal. in press, 1993.
Otaka, E,. Hashimoto, T,. Mizuta, K,. Suzuki, K,. The ribosomal proteins: Compilation of protein species equivalents from various organisms, based on evolutionary analyses. In: “The Translational Apparatus" (eds. K. H. Nierhaus, V. A. Erdmann, F. Franceschi, A. R. Subramanian, B. Wittmann-Liebold), Plenum Publ. Comp,. in Press, 1993.
Otaka, E,. Hashimoto, T,. Mizuta, K,. Suzuki, K,. The evolution of ribosomal proteins and yeast, Protein Synthesis and Targeting in Yeast (Canberbury),July 1992.
Otaka, E,. Hashimoto, T,. Mizuta, K,. Suzuki, K,. The ribosomal proteins: Compilation of protein species equivalents from various organisms, based on evolutionary analyses, International Conference on the Translational Apparatus (Berlin), November 1992.
大鷹英子,橋本哲男,水田啓子,鈴木克之,Universal Code System(UCS)による全生物リボソーム蛋白質の編集その一,日本分子生物学会年会,1992年12月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

三大生物群中、よく調べられている大腸菌のそれを基にした原核生物群の命名法を軸に、先ず原核生物群内の相同種を纏めていく。その際、種々の相同性解析法を併用して慎重を期する。次いで、原核生物群の各蛋白種について、メタバクテリア群における相同種、真核生物群におけるそれらが既知配列の中から検出される。原核生物群には存在しないがメタバクテリア群に、又は真核生物群にだけある相同種、又はそのどちらにもあるものが検索されコンパイルされていく事になる。
相同性の確率を始めこのようなデータベースの作成を能率性を上げ且つ混乱なく実行していく為には統計数理研究所との共同研究体制が強く望まれる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

橋本 哲男

統計数理研究所