平成101998)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

10−共研−52

専門分類

7

研究課題名

呼吸循環疾患における代償機構破綻の予知における多項目生理情報連続モニタリング法の意義

フリガナ

代表者氏名

ヤマキ ミチヤス

八巻 道安

ローマ字

所属機関

山形大学

所属部局

医学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

従来、個別的に心拍変動の消失やT波変動の増大が突然死予知に有用であるとされているが、十分な精度を有していない。本研究の目的は多項目生理情報(心電図、体動脈圧、肺動脈圧など)を多元的に解析、かつ数理モデル化することで代償機構破綻の予知のためのアルゴリズムを確立することである。


本研究では、心臓カテーテル検査を施行した虚血心疾患など14例について、モニター心電図記録をもとにRR時系列データを作成し、心拍ゆらぎ変動の時系列データについて非線形解析を行い時系列データのフタクタル性の指標:相関次元、集束性の指標:リアプノフ指数及び線形解析における指標である標準偏差(SD)、%RR50、高周波成分(HF)、低周波/高周波(LF/HF)を測定した。さらにこれらの指標と血行動態との相関から非線形心拍変動指標の持つ意義について検討した。リアプノフ指数はSD(r=0.78)、%RR50(r=0.66)、HF(r=0.67)、右心拡張末期圧(r=-0.59)と正の相関を認めた。リアプノフ指数は血行動態を反映する指標となり得る可能性があると思われた。
また、自律神経活動の指標の1つである心拍変動の周波数解析を施行し異型狭心症発作における自律神経活動を検討した。異型狭心症患者を対象としモニター心電図記録をもとにRR時系列データを作成し、得られたRR時系列データをワークステーションに転送し complex demodulation 法を用い周波数解析を行った。異型狭心症の胸痛発作において、発作に先行して低周波成分が上昇する傾向を認めた。本法は経時的に自律神経活動を観察するのに簡便でありモニター心電図にて記録された患者イベントに対する自律神経の関与を検討する上で有用と思われた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Yamaki M et al. Simulation of late potentials and arrhythmia by use of a three-dimensional heart model. J Electrocardiol, 32, 1998年4月.

南幅修・八巻通安他、収縮期血圧の非観血的心拍毎モニタリング法の開発、第63回日本循環器学会,1999年3月27日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

50名の重症心肺疾患患者に心電図(心拍変動、T波波高)・体動脈圧・肺動脈圧・呼吸曲線・酸素飽和度・心拍出量の連続モニタリングを行う。このデータをワークステーションへ転送し、各パラメータの変動性の相互関係から代償機構破綻に至る過程を解析する。解析には通常の時系列解析の他、フラクラル次元など非線形解析を適合する。代償機転発現から破綻までの過程を数理モデル化し線形および非線形解析を適合するうえで、統計数理研究所との共同研究は本研究の必須要件である。最終的に破綻予知についてのアルゴリズムを完成する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

尾崎 統

統計数理研究所

田村 義保

統計数理研究所

友池 仁暢

山形大学

樋口 知之

統計数理研究所