平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−39

専門分類

3

研究課題名

多変量自己回帰モデルによる新生児長期生体情報の解析と相互応答

フリガナ

代表者氏名

オガワ テルユキ

小川 昭之

ローマ字

所属機関

重症心身障害児施設「恵の聖母の家」

所属部局

職  名

園長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

我々によってすでに開発されている新生児長期生体情報収集・解析システムを用いて、出生直後より第7生日に至る脳波と自律神経機能の”揺らぎ”との間のノイズ寄与率を求め、新生児脳波の揺らぎに対する脳幹の役割を知る。


[目的]健康早産児28例(受胎後30〜34週:13例,35〜39週:15例)を対象として新生児長期生体情報収集・解析システム(小川,1995)を用いて、下記生体情報を収集し、平成8年度においては脳波活動と呼吸リズムの睡眠段階に伴う変動を定量する。
[方法]生体情報収集(脳波、呼吸、RR間隔、筋電図、体動、眼球運動)を同時にAD変換し、(1)脳波は最小AICと絶対パワーの対数値(IogTP)を求め、また同時にRR間隔時系列の低周波数帯域(LF)と高周波数帯域(HF)とのパワーを求め、それぞれのパラメータが動(静)睡眠期で如何なる変動を示すかを検討した。
(2)呼吸波形ではサンプリング周波数5HzでAD変換し、1区間30秒の時系列に自己回帰モデルをあてはめ、最小AICを求め、正規化AIC(N-AIC)をN-AIC(M)=[AIC(M)-AIC(O)]×N×1/Nによって計算した。ついで、さらにN-AIC(M)が動(静)睡眠でどのように変動するかを検討した。
[結果](1)静睡眠期(QS)では、脳波のMin-AICのlogTP,RR間隔のLF-power,HF-powerのいずれもがASに比較して有意に高値であった。また、呼吸波形のN-AICを用いることにより、体位による呼吸波形のアーチアクトは小となり、静睡眠期の判別精度は向上した。
[まとめ]H9年度共同研究までに、判別分析を用いてQS,ASの差を検定することが宿題とされた。
〔研究会の場合 開催期間:1997,3,13 開催場所:統計数理研究所〕


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 Wada M, Ogawa T,Sonoda H, Sato K.Development of relative power contribution ratio of the EEG in normal children: a multivariate autore gressive modeling approach.Electroencephalography and clinical Neurophysiology 1996; 98: 69-75
小川昭之著:発育脳の生体情報制御システムとその臨床、九州大学出版会、中野三敏,1997
小川昭之、”新生児における24時間生体情報自動解析と神経学的予後”、第47回日本産婦人科学会九州連合地方部会 1996年5月18,19日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

新生児長期生体情報の収集システムを用いて生直後より第7生日までの連続した生体情報[脳波、呼吸、血圧(収縮期・拡張期)、R-R間隔、体温]を同時サンプリングにてA/D変換し、神経回路網発達の著しい時期における脳波と上記パラメーター間のインパルス応答を求め、正常と異常発達との比較からヒト神経回路網の脳波活動揺らぎ形成に対する役割を推定する。この研究において、複数非線形振動系の予測と制御応答を求めるために、従来に引続いて石黒真木夫教授との共同研究をお願いする次第である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

古城 昌展

大分医科大学

佐藤 圭右

大分医科大学

Pan Xiao-Li

大分医科大学大学院