平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−53

専門分類

7

研究課題名

大家畜における総合的な遺伝能力評価の研究

フリガナ

代表者氏名

ワダ ヤスヒコ

和田 康彦

ローマ字

所属機関

農林水産省畜産試験場

所属部局

育種部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

農産物自由化の情勢を受けて乳牛,肉牛の改良において,従来からの改良の対象であった量的な生産形質に加えて,抗病性や長命性,あるいは繁殖能力といった質的で遺伝率の低い形質を含めた総合的な遺伝能力の評価が求められている。本研究では,このような総合的な遺伝能力評価をするための手法を開発することを目的とする。


泌乳形質以外の形質を含めた総合的な遺伝能力評価のための基礎データとして、牛群検定における泌乳形質と体型審査における14部位の線形スコアについて制限付き最尤法(Rest-ricted maximum likelihood method;REML method)アニマルモデルを用いて遺伝率と相互の遺伝相関を求めた。さらに、これらの値をもとに主成分分析を実施して、線形スコア間のグループ化を試みた。
平成5年秋の乳用種雄牛評価に用いられたデータの中で、1983年から1993年にわたって初産分娩し、泌乳記録、審査得点、線形スコアを持つものを材料とした。分析用データセットは、これらのデータの牛群コードの下2桁を用いて抽出した5687件で、記録を持つ雌牛の乳牛は685頭、母牛は4963頭であった。モデルとしては個体の変量効果、牛群・審査の母数効果、審査月齢の母数効果、泌乳ステージの母数効果を含むアニマルモデルを用いた。
線形スコアの遺伝率の推定値は高さの0.46を最高に、尻の角度が0.32、体の深さが0.30と中程度の値を示した。泌乳形質と線形スコアの間の遺伝相関は、乳量と乳房の深さの間で-0.62、SNF量と乳房の深さの間で-0.52と中程度の負の相関を示した以外は低い相関にとどまった。主成分分析による線形形質のグループ化を試みた結果、高さ、強さ、深さ、尻の幅、後乳房の幅のグループと、前乳房の付着、後乳房の高さ、乳房の深さ、乳房の懸垂、前乳頭の配置の2つの大きなグループに分けれれることが明らかとなった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

アニマルモデル実用化検討会、評価値変動に関する検討報告書、
家畜改良センター、平成8年3月(発行予定)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 質的な形質を加えた総合的な遺伝能力を評価するためのモデルには種々のモデルが考えられる。それらの中で全国規模の能力評価に使用可能と考えられる線型なベイズモデルについて,いくつかのモデルを試作する。そして,全国規模のデータから赤池のベイズ型情報量規準を算出し,最適なモデルを検討する。
  
 統計数理研究所は赤池のベイズ型情報量規準の発祥の地であり,現在も,この分野で世界をリードされている研究所で,共同研究を実施する意義は大きいと考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所